2003年度期成会活動報告

 

第1 弁護士会の動き

1 はじめに

2002年1月以降3年計画で進められてきた司法改革推進本部検討会での審議の2年目を迎え、2003年度は司法改革の実行段階に入った。

弁護士法が改正され、市民会議の設置、綱紀審査会の設置を含めた綱紀・懲戒制度の改正、弁護士の活動領域を拡大するための弁護士法30条改正、弁護士報酬会規の撤廃、弁護士法72条但書の改正が行われた。

裁判官制度改革を行うため、下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置され、最高裁事務総局の密室内で行われていた裁判官の任命手続きに市民の声が反映できる体制が出来上がり、判事補の他職経験に弁護士経験を導入することになった。

行政訴訟改革により原告適格の拡大などが図られ、労働訴訟改革により労働審判制度が実現することになった。裁判迅速化法も制定された。

敗訴者負担問題に関しては、2003年10月10日の司法アクセス検討会で突如合意案が浮上した。しかし、この合意案は訴訟を利用し易くするという司法改革の理念に適合しない。そのため日弁連は、仮に合意案を導入するとしても@消費者訴訟A労働訴訟B一方の取引上の地位が他方に優越している事業者間の訴訟の三類型の訴訟には合意案を適用しないだけでなく、これら三類型の当事者間の契約における敗訴者負担の定めも無効とすべしとして、このような内容の独自の法律案も作成した。 

裁判員制度問題に関しては、2004年3月、裁判員制度導入法案が国会に提出された。その内容は、「裁判官と裁判員の人数を3対6とする」「裁判員が情報を漏らすと懲役刑に処せられるとする」などの点で問題があるばかりか、「刑事手続の抜本的改革、とりわけ取調過程の可視化、証拠開示の拡充、身体拘束制度の改革」などの点が明確ではなく、引き続き取り組みが求められる。

また同年3月、従来リーガルサービスセンター構想ないし司法ネット構想として検討されてきた総合法律支援法案も国会に上程された。総合法律支援の運営主体とされる支援センターは、被疑者に対する国選弁護制度の創設、法律扶助事業の拡充、過疎地対策の前進や犯罪被害者支援などを本来業務とするとされている。

国選弁護制度の関係では対象事件の拡大・弁護活動の自主性や独立性確保などの点が、法律扶助事業の関係では対象者と対象事件の更なる拡大が、犯罪被害者支援の関係では支援内容の拡充などが求められなければならない。それとともに理事長の任命について日弁連との協議する運用を確保するなど、支援センターに対して日弁連が関与できるようにすることも必要である。

弁護士会は、これだけ多くのテーマが矢継ぎ早に実行に移されるというこれまで経験したことのない事態に直面し、司法審最終意見書の後退は許さないとの立場に立って闘った。そればかりでなく、平和憲法を突き崩そうとする政府与党の策動に対しても、直ちに日弁連会長声明・東弁会長声明を発表するなどの活動に果敢に取り組んできた。

以下、弁護士会の取り組んだ活動の中から主要なものを振り返ってみる。

 

2 弁護士費用敗訴者負担制度問題への取り組み

  日弁連は昨年度に引き続いて弁護士費用敗訴者負担問題対策本部を中心に旺盛な取り組みをした。その主要なものは次の通りであった。

(1) 5月30日、弁護士報酬の敗訴者負担に反対する1000人パレード

  司法アクセス検討会による敗訴者負担制度の原則導入論の導入を阻止するために、日弁連と東京三会の共催で昼休みパレードを実施した。このパレードには弁護士関係者約900名、一般市民400名の合計1300名もの参加者があり、大成功であった。期成会からは、弁護士・事務局などを含め200名近い参加者があり、この成功に貢献できた。

(2) 敗訴者負担問題全国統一行動デー(6月19日午前8月30分〜)弁護士報酬の敗訴者負担反対のためのうちわ配り

弁護士報酬の敗訴者両面負担化説導入論を阻止するため、1000本のうちわ配りを行い、期成会からは11名以上が参加した。

(3) 敗訴者負担問題全国統一行動デー(7月22日午前8月30分〜)弁護士報酬の敗訴者負担反対のためのうちわ配り

6月20日の司法アクセス検討会では、弁護士報酬の敗訴者両面負担化説導入論に対して委員の反発が強かった。だが、新日鉄の西川委員の「公害事件は被害者が勝っているから被害者負担なら公害事件を提起しやすくなる」との意見に代表される両面負担化説の危険な動きに反対するために、前回の5倍の5、000本のうちわを東京駅丸の内南口など3ヶ所で配布した。期成会からは8名の会員が参加した。

(4) 司法アクセス検討会の「弁護士報酬の敗訴者負担の取り扱い」についてのパブリック・コメント募集に対する意見書提出と100万人の反対署名

司法アクセス検討会は、9月1日を締め切りとして「弁護士報酬の敗訴者負担の取り扱い」についてのパブリック・コメントを募集すること、その結果をふまえ9月19日以降の検討会を開催することを決めた。

この間の司法アクセス検討会の議論は、両面負担化を導入しない訴訟の範囲に向いていたため、日弁連ではこれを司法アクセス検討会に対して、司法アクセス拡充のためには片面的負担制度導入こそ必要であって両面負担制度は導入すべきでないとの市民の声を届ける機会と捉えた。

そして、8月を「意見書提出運動月間」として弁護士会内外に広くパブリック・コメントへの応募を求めた結果、両面負担制度反対の意見を中心に僅か1月で5、134通もの意見書が寄せられた。

また昨年度以来取り組んできた100万人の反対署名は110万筆を超えるという大きな成果を収めた。

 

3 裁判員制度問題への取り組み

裁判員制度は一般市民が裁判官と協働して裁判内容の決定に主体的・実質的に関与させようとするものであり、その適正・充実した審理を実現するためには刑事手続きの抜本的な改革が不可欠である。日弁連はこのような基本方針の下、その実現に向けてこの1年間も全力を傾注してきた。

その運動の一つの柱が日弁連製作の裁判員ドラマ「裁判員・・・決めるのはあなた」上映会であった。このドラマ上映会は、4月2日に東京よみうりホールで800名もの市民を集めて開催したのを皮切りに、全国で次々と開催し、いずれも成功を収めた。

また10月1日には、日弁連と東京三会共催で「10・1法の日・裁判員制度全国統一行動」を行い、「裁判員を裁判官の3倍以上に」などと訴える日弁連新聞裁判員制度特集号「市民版」を、数奇屋橋を初めとする都内7ヶ所で配布した。この行動に期成会からは、30名以上の会員が参加した。

 

4 東弁北千住第二公設事務所の開設

 2003年6月の常議員会で北千住近辺に第二任官推進事務所設置が決議された。この事務所は、刑事弁護を中心としつつ、地域の法的ニーズへの対応、弁護士任官推進、判事補の多職経験の受け入れ、過疎地公設事務所への弁護士派遣、臨床教育の実施なども目的とする総合型法律事務所として位置付けられている。

 次いで、7月15日の東弁臨時総会にて、北千住第二公設事務所設置のため北千住西口再開発ビル6階603号室を4億150万円以内で取得することが決まった。

 そして、本年3月24日には、開設記念パーティをとりおこない、いよいよスタートを切ることになった。

 

5 憲法・平和問題への取り組み

 2003年6月6日、有事法制三法が可決され、7月26日イラク特措法が可決された。そして、ついに自衛隊がイラクに派兵され、2004年1月31日には、野党欠席のままイラクへの自衛隊派兵が衆議院で承認され、2月9日には参議院でも承認を受けるに至った。憲法9条は未だかってない危機に見舞われている。

これら平和憲法に真っ向から挑戦するような立法に対して、日弁連・東弁は平和憲法擁護の立場に立って反対運動を行った。

(1) 有事法制三法案の衆議院武力攻撃事態対処特別委員会での採択に対する日弁連会長声明

  5月14日、衆議院武力攻撃事態対処特別委員会で与党と民主党の修正合意を踏まえて有事法制三法案が修正のうえ採択された。しかし、この法案には武力攻撃予測事態の定義や範囲があいまいであるばかりか、周辺事態との異同が不明確など多くの問題点があったため、議論を尽くし出し直すことを求め、同日、日弁連会長声明を発表した。

(2) 日弁連と東京三会共催のトーク&ライブ

5月15日の衆議院本会議は、有事法制三法案を可決してしまった。アメリカのイラク攻撃と衆議院本会議での有事法制三法案可決を踏まえて、5月20日、日弁連と東京三会は千代田公会堂で「武力で平和がつくれますか?―イラク攻撃と憲法・有事法制」と題するトーク&ライブを開催した。あいにくの雨にもかかわらず600名を超える参加者が集い、法案可決とイラク攻撃に対する反対の意思を確認しあった。

(3) 有事法制三法案の参議院での可決に対する日弁連会長声明

  6月6日の参議院本会議で有事法制三法案が可決された。これに対して日弁連会長は、「国民に対する説明が尽くされていない」「そうした状況下で・・・有事法制法案が可決され成立したことはきわめて遺憾である」「引き続き市民とともに、最大の人権侵害である戦争に反対し、憲法で保障された自由と権利を守るために最大の努力を継続する決意である」旨の声明を発表した。

(4) イラク特措法案の衆議院通過に対する日弁連会長声明

7月4日、イラク特措法案が衆議院を通過した。これに対して日弁連会長は、その当日、「そもそも米英軍のイラク侵攻は国連憲章に反するものであり」「自衛隊がそうしたイラクにおいて戦闘継続中の米英軍のために武器弾薬兵員を輸送することは、決して非戦闘地域での後方支援などということができず、米英軍の武力行使と一体化したものと評価される」「イラクにおける自衛隊の武力行使を容認するイラク特措法案は憲法に違反する恐れが極めて大きい」「採決に抗議し、法案に反対する」旨の声明を発表した。

(5) イラク特措法案の参議院通過に対する東弁会長声明

7月26日、イラク特措法が与党3党の強行採決によって成立した。これに対して東弁会長は、その当日、「自衛隊が占領行政を行っている米英軍を中心とした多国籍軍の指揮のもとで後方支援を行うことは、武力行使を否定し、国の交戦権を放棄した憲法に違反する恐れがある」「与党三党が全野党の反対を押し切ってイラク特措法案を採択したことは到底容認できない」旨の声明を発表した。

(6) イラク派遣に反対し「基本計画」を閣議決定しないよう求める日弁連会長声明

11月19日、イラク特措法制定時とは状況が大きく変化しており「自衛隊等の対応措置は非戦闘地域において実施し、武力による威嚇または武力にあたるものであってはならない」との同法の基本原則によれば、もはやイラクに自衛隊等を派遣することは不可能であるとの立場から、自衛隊等のイラク派遣に強く反対し、政府に「基本計画」を閣議決定しないよう求める日弁連会長声明を発表した。

(7) 閣議決定に反対し、イラク派遣中止を求める東弁会長声明

12月9日、東弁会長は同日の「基本計画」の閣議決定に断固反対し、抗議するとともに自衛隊等のイラク派遣中止を強く求める声明を発表した。

 


第2 期成会のこの1年の活動

1 はじめに

今年度は、期成会から送り出した東弁田中執行部を支えるため、「政策活動の強化」「委員会活動その他公益活動への参加」「弁護士会行事への参加」の三大目標に掲げた。それとともに期成会の会務活性化のため、「若手・中堅の期成会活動への参加」「迅速な情報伝達と会内合意形成のための活動の強化」「期成会組織の強化と活性化」の三大目標も掲げた。

以下、これらの目標の下での具体的な活動を振り返ってみる。

 

2 東弁田中執行部を支えるための活動

(1) 東弁理事者との朝懇談会

  今年度は、東弁田中執行部を支えるための今までにない新たな試みとして、東弁理事者と会派執行部との定期的な朝懇談会を始めた。

第1回目の4月14日の懇談会こそ、期成会執行部と東弁理事者との懇談会であったが、第2回目以降の懇談会は、ほぼ毎月2回、法友会、親和会、期成会の三会派の執行部と東弁理事者との朝9時〜10時まで1時間の定例懇談会として定着した。

  東弁理事者は、理事者が抱える課題が早め早めに各会派執行部宛投げ掛け、逆に各会派執行部は、理事者に対し各課題についての各会派内の討議状況を伝えることによって、理事者と一般会員の間に問題意識のずれが生じないようにし、会内民主主義とスムースな会務運営の推進を図ることを目指した。

その結果、日弁連総会や東弁総会への出席者確保、パレードや宣伝活動への参加者確保、第二公設事務所立ち上げ準備といった会務のスムースな運営を図るとともに、各会派から適宜会派内の討議状況を反映した意見書を弁護士会宛提出するなどして多くの会員の声がビビッドに理事者に伝わるようにするために一定の役割を果たすことができた。

(2) 各種政策活動

ア 弁護士費用敗訴者負担制度の不当性に関する報告書作成

弁護士費用敗訴者負担問題プロジェクトチームは「弁護士費用敗訴者負担制度の不当性に関する裁判事例30」と題する報告書を作成し、同報告書を4月15日の司法アクセス検討会の日弁連資料として提出した。

イ 刑事弁護士団チーム設置の意見書

裁判員制度導入をにらむと弁護士側での刑事弁護の力量アップは不可欠であるとの問題意識から出発し、刑事弁護団検討プロジェクトチームは刑事弁護専門の新型法律事務所の実験的立ち上げの検討を始めた。

当初のプランでは、朝倉会員よりその事務所スペースを無償で提供して貰って、期成会にて刑事弁護のエキスパートの養成を行うとされていた。

  しかし、その後2004年4月に発足する第二公設事務所をサポートする方向で実現を図るべしとの意見が多数を占めるようになった。その結果、9月22日、東弁弁護士任官運営特別委員会宛、第二公設事務所内に東京地裁刑事部に対応して専属立会いする刑事弁護団チームを設置し、若手弁護士を中心に国選弁護事件を主に担当する弁護士を配置するとともに、これら刑事弁護士の指導・サポートをする熟練弁護士を配置すべしとの意見書を提出した。

ウ 東京地方裁判所八王子支部の移転問題に関する意見書

7月15日の東弁臨時総会の席上田中会長から東京地方裁判所八王子支部が立川に移転する見通しであるとの情報が伝えられた。

  この問題は、東京地方裁判所八王子支部に隣接して会館を有する東京三会多摩支部のあり方に直接影響を持つだけでなく、地域司法計画のあり方にも重大な影響を与えるものとして、9月8日、東弁宛に東京三会と裁判所との間で移転問題についての協議機関を設置すべしなどとする意見書を提出した。

エ 弁護士業務基本規程の検討に関する意見書

9月8日、東弁宛、本規定案の検討の時間が余りに少ないこと、倫理行動指針と行為規範を仕分けして後者についてのみ法的拘束力を持たせるべきであること、法的拘束力を持たせる条項の構成要件は出来るだけ明確にすべきことなどを理由として、再度単位会等に意見照会をしたうえで、その意見を踏まえた最終案を取りまとめるできであるとの意見書を提出した。なお、その後東弁でも日弁連宛ほぼ同趣旨の意見書を提出した。

オ 東京における身体拘束少年事件全件付添制度導入の意見書

11月27日、東弁宛、東京における身体拘束少年事件全件付添人制度を2004年度中のできるだけ早い時期に実施すべきであり、そのために「適切な予算措置の確保」「少年事件弁護士登録者数の倍増」「会内合意の確立」「東京他会への働き掛け」をすべきであるとの意見書を提出した。

  公的弁護制度検討会では、この問題についての結論が先延ばしにされ卑小な制度にされかねない恐れがあるところ、東弁では全件付添制度導入人的体制が整いつつあることを指摘して、その実現を図ることを目的としたものである。

カ 弁護士職務基本規程制定に向けての意見書

  日弁連から意見照会が行われた旧「弁護士業務基本規程」に対する全国の単位会から寄せられた意見をもとに、日弁連から新「弁護士職務基本規程」案が発表された。そこで、2004年3月5日、東弁宛、「倫理的行動指針と行為規範の仕分け」「構成要件の明確性」などの諸点が改善されていることを評価しつつも、今後とも会内合意を図るための努力を重ねるべしとする意見書を提出した。

(3) 委員会その他公益活動への参加

12月16日の東弁臨時総会において、公益活動に関する会則改正が行われ、会員は「委員会活動」「法律相談活動」「国選弁護(国選付添人)活動」「当番弁護(少年当番)」「法律扶助活動」のうち、少なくとも1つに参加する義務が定められた。公益活動への参加のインセンティブ的な意味合いでの公益活動等負担金(金5万円)も定められた。 

  会則上は、上記5つの公益活動の1つ以上に参加するとされているが、この改正を機に全ての会員が最低一つの委員会活動とその他の公益活動への参加が要請されることになった。

  期成会の将来構想委員会の提言に端を発して検討が続けられていた公益活動への参加問題について、一定の回答が与えられたものである。

  期成会の会員は、今後とも率先して公益活動に取り組むことが求められる。

(4) 弁護士会行事への参加

ア 7月15日の東弁臨時総会への参加

  7月15日、北千住第二公設事務所設置、東弁会長及び副会長に対する経済的支援、2003年東京弁護士会宣言の件を議題として東弁臨時総会が開催された。

  議題の中でも北千住第二公設事務所設置問題は、田中東弁会長が「司法改革の中心課題の一つである刑事弁護問題に弁護士会としても積極的に対応する責務があるとの認識に立ち、設立に向けて全力を尽くす」旨の決意を込めて提案したものであった。執行部でも田中東弁会長の決意に応えるべく、会員に最大限の参加を呼びかけたところ、期成会からは60名を超える会員の参加があった。その結果、この臨時総会に付された理事者提案は、多数の参加者の賛同を得て全て可決された。

イ 11月12日の日弁連臨時総会への参加

  11月12日、弁護士法改正に対応するため「公職兼任禁止を届出制とし、営利業務も許可制から届出制とする」「報酬規制を廃止する」「綱紀審査会の設置等に関する規定を整備する」などを議題として日弁連臨時総会が開催され、提案された議題は全て可決された。期成会からは、50名弱の本人出席を含め200名近い会員が参加した。

ウ 12月16日の東弁臨時総会への参加

12月16日、弁護士法改正に伴う公益活動に関する会則改正を含む東京弁護士会会則の一部改正を主要議題として東弁臨時総会が開催された。会則改正が議題となったため200名の定足数を満たす必要があった。期成会からは50名以上の会員が総会に参加し、理事者提案が全て採決された。

エ 2月26日の日弁連臨時総会への参加

  2月26日、当番弁護士等緊急財政基金のための特別会費徴収の件と弁護士の報酬に関する規則制定の件を議題として日弁連臨時総会が開催された。提案された議題は全て圧倒的多数の賛成で可決された。東弁の事前に総会出席が確認できた108名中38名、東弁の委任状提出者803名中156名が期成会員であった。

 

3 期成会の組織強化と活性化

(1) 若手・中堅の期成会活動への参加

  今期の執行部は、今までの3名を5名に増やした事務局次長体制で運営してきた。その甲斐あって強力な執行体制をつくることが出来た。このことは、若手・中堅にもきちんとした活躍の場さえ与えれば、しっかりと要請に応えて貰えることを示している。今後とも一層の若手・中堅の活躍が求められる。

  また若手会員を期成会に対する求心力を高めるための方策の一つとして、業務対策プロジェクトチームを立ち上げ、主に若手会員を対象とした業務対策を検討した。その上で、この検討結果をふまえ、登録から15年目までの会員を対象として、商店街や信用金庫などに巡回法律相談を行うことを決めた。

そして、10月より、とりあえず3つの信用金庫宛ダイレクトメールを発送したが、残念ながら今のところ反応はない。もっともっと粘り強い活動を続ける必要があろう。適宜、他の信用金庫や商店街などに対象を広げることも検討の必要があろう。

なお企画の初期費用として、広告費(パンフレット・リーフの作成等)に25〜35万円、専用電話設置費用に相当金額が必要と見積もられるが、これら費用については11月6日の幹事会にて承認された。

(2) 迅速な情報伝達と会内合意形成のための活動の強化

ア メール・ホームページ問題(迅速な情報伝達のために)

@ 期成会メールの開設

  本年度より、期成会から会員宛の連絡や報告の伝達媒体を、出来る限りFネットから期成会メールに代えていくこととした。300名近い会員宛には期成会メールにて送信するようになり、大幅な通信費の減少が期待されたにもかかわらず、却って増大してしまった。「@、メールで流せば文章の長短で費用は変わらないため長文の報告書類が増加してしまった」「A、従来より多人数会員のいる事務所には1通のファックスしか送っていなかったためFネット発信分はそれ程減少しない」等がその原因として考えられる。

  この短期的対策としては、報告書類の執筆者にダイジェスト版を作成してもらい、Fネットにはこれだけを流す、長期的対策としては、Fネット送信対象者を2桁まで減少させたうえ、同報送信に切り替えることが考えられ、取り敢えず短期的対策から実行に移すようにした。

また期成会メールの取り扱い範囲をどうするかも議論の対象となった。

その結果、双方向メールとしては「期成会メーリングリスト」があるため、期成会メールは期成会事務局から会員宛の一方向メールであるとの位置づけを明確にするべきであるとされ、基本的に以下の内容を期成会事務局から発信することとしている。

@ 日弁連・関弁連理事会報告

A 常議員会報告

B 司法改革・弁護士会の諸問題などに関する会員宛伝達事項

C 各種イベント・プロジェクトへの参加呼びかけ

D 期成会幹事会報告

E ホームページ更新のお知らせ

F その他、上記に準じる事項

  なお、期成会メールにて送信するか否かの判断は第一次的には事務局長が判断する運用としている。次年度には利用規則を決める必要があろう。

A 期成会メーリングリストの立ち上げ

4月、新人、中堅、ベテランを問わず、会員同士が自由かつ気軽に情報交換をする場所や方法が少なく、会員同士の考え方や活動が見えにくい状況になっている現状を改善するため会員間のメーリングリストを立ち上げた。未だメンバー数は68名に止まっている。メンバーを如何にして増やすか?が次年度の課題となろう。

B 期成会ホームページのリニューアル

  現在の期成会ホームページは会員の献身的努力によって立ち上げたものであるが、アクセスが極めて少なく、余り活用されているとは言いがたい。

かかる事態を打開する方策の一つとして、ホームページ委員会より、プロの手を借りてもう少し見栄えの良いものにすべきではないかとの問題提起がなされた。ただ初期費用だけでも26万円も掛かるとの見積書を前に、相見積もりの点も含め、もう少し検討を続けることになった。

今期より会員ページ上への会員名簿のアップなどの試みも行っているが、内容がタイムリーに更新されていないなどの問題点にも前向きに取り組む必要がある。

イ 会内合意形成のための活動の強化

会内合意形成のため以下の通りの、会内総会や集会に取り組んだ

@ 5月13日、中本源太郎会員以下6名の会員の2003年度幹事選任に関する臨時総会及び第二公設事務所構想に関する会員集会開催

3月27日の定時総会において、佐藤和利会員から2002年の総会で決定された期成会基本政策より中本源太郎会員を擁立して東弁会長選を戦った自分達の考え方の方が正しいので、その考え方を広げるために幹事に立候補するとの意向が表明された。このような意見に対し、田中敏夫会長を支えるべき幹事にそのような人たちは相応しくないとの意見が相次いだ。

本臨時総会は、かかる事態の下で、中本源太郎会員他5名の幹事選任に関して開催された。その結果、下林秀人会員と濱野泰嘉会員は賛成多数で幹事に追加選任され、残りの4名は選任されなかった。

この臨時総会に引き続いて北千住第二公設事務所構想についての会員集会も持たれた。東京パブリック法律事務所所長石田武臣会員の「北千住第二公設事務所の成功は刑事弁護のみならず弁護士任官や過疎地への弁護士派遣でも意義が大きい」との発言に代表されるように、基本的にこの問題を前向きに考える方向で様々な意見が出された。

A 夏合宿

8月17日から18日にかけて蓼科高原の東京商工会議所の研修施設「蓼科フォーラム」にて夏合宿を行い、51名の会員が参加した。

第1日目は、「司法改革後の弁護士近未来像―予想される変化と今後の課題」と題する早大須網隆夫教授の講演をうけて、司法改革実現後の弁護士近未来像について様々な角度から討議を行った。

「今までのやり方で裁判員制度下の刑事裁判に対応できるか」(討議1.裁判員制度・刑事訴訟法はこうなる)、「法廷内外の運動と連携して紛争の社会的背景を明らかにする中で成果を勝ち取ってきた裁判は、裁判迅速化法・敗訴者負担制度の下では起こせなくなる」(討議2.裁判迅速化法と敗訴者負担の一部導入で民事訴訟はこうなる)、「ある程度の質を備えた法曹を一定数作っていくためには法科大学院が必要だ。法科大学院制度は後世大きく評価されると思う」(討議3.法科大学院のスタートで教員・クリニック等新たな仕事を担う多くの弁護士)、「都市型公設事務所では多面的役割が果たせることが分った」(討議4.第二、第三任官推進事務所)など、司法改革の光と影の両面を指摘する意見が活発に出された。

第2日目は、12月16日の東弁臨時総会の議題を俎上に上げた「討議5.公益活動の義務化」、突如浮上した地裁八王子支部移転問題を俎上に挙げた「討議6.地裁八王子支部の移転」日弁連総会への付議が予定されていた議題を取り上げた「討議7.弁護士業務基本規程案」の3つの論点について討議を行った。

討議5での「義務化によって公益活動の生命力が失われるのではないか」との危惧に対する増岡副会長の「5万円の負担金はぺナルティというよりインセンティブとの意味合いで考えている」との回答、討議6での「八王子支部問題では期成会でも意見書を出すべきだ」との意見、討議7での「倫理規範と行為規範が混在しているので峻別すべきだし、構成要件も不明確」との意見などが大方の参加者の賛同を得た。

B 10月6日、公益活動の義務化と弁護士業務規定問題をテーマにした拡大幹事会兼会員集会の開催

@ 公益活動の義務化問題

増岡副会長より、5万円の負担金はペナルティというよりインセンティブと考えて貰いたい、勧告・公表まではするが懲戒までは考えていない、ハードルを低くして出来るところからやろうということだとの理事者の考え方が述べられ、熱心な討議が行われた。

A 弁護士業務規定問題

鈴木代表幹事より、この問題に付いての9月8日付け東弁宛の期成会意見書の説明があり、増岡副会長より東弁の同趣旨の日弁連宛意見書が圧倒的多数にて常議員会の了承を得たことの報告があり、これらに基づいて討議を行った。

C 12月1日、2004年度選挙政策確定のための臨時総会開催

「2004年度私たちの政策」の討議がおこなわれた。

とりわけ、裁判員制度、公益活動の義務化、弁護士職務基本規程、地裁八王子支部建替・移転問題等を巡って活発な討議が行われ、会員から指摘された事項を再検討した上、執行部の責任において最終確定することの了解がなされた。総会で大幅に改められたのは地裁八王子支部建替・移転問題であった。原案では「八王子支部を本庁化すべし」となっていた点に対して「そこまでの議論はされていないはずだ」との批判が集中し、「本庁化についても検討すべきである」との表現に改められた。

D 12月3日、高山俊吉と梶谷剛の二人の日弁連会長候補の政策を聞くための会員集会開催

2004〜5年度の日弁連会長を決める選挙に高山俊吉候補と梶谷剛候補の2候補が立候補した。

期成会では、12月3日、高山俊吉候補と梶谷剛候補のお二人を招いて、それぞれの政策を聞くための会員集会を開催した。

高山俊吉候補は、期成会の選挙政策にはイラク派兵・改憲策動下の司法改革に対する批判的視点がないとした上で、「市民」という言葉の怪しさ、龍谷大学ロースクールが不認可とされたことの問題性、裁判員制度とLSCの持つ危険性などを指摘し、司法改悪を許すなと主張した。

梶谷剛候補は、これまでの司法改革の取り組みを「大きな司法」「市民参加の司法」実現へ向けての前進と評価した上で、設計された諸制度にいかに命を吹き込むかが重要だと指摘した。そして、人権課題についても本林会長と同様に取り組みたいとの抱負を語った。

その後、このお二人には会員から様々な角度から質問の矢が放たれ、お二人からは誠実な回答がなされた。

E 1月16日、日弁連会長選に臨む態度を決するための臨時総会開催

12月3日の会員集会での高山俊吉、梶谷剛の両候補の政見を基に、1月16日、日弁連会長選にどのような態度で臨むべきか決するための臨時総会を開催した。

司法改革は司法改悪であって、到底評価できないとか日弁連は時流に流されつつあるとの現在の日弁連路線に反対する意見も出された。しかし、今回の司法改革は裁判の利用者たる市民のスタンスから出発して評価すべきである、などとして基本的に現在の日弁連路線を評価する意見が圧倒的多数を占めた。

また、どちらの候補であっても支持決議すべきでないとの少数意見も出された。

そこで、まず支持決議の可否につき採決した。採決すべしとする意見35名、採決すべきでないとする意見5名、保留2名にて、支持決議をすることとなった。

次いで、どちらの候補を支持するかについて採決した。梶谷剛候補を支持する者35名、高山俊吉候補を支持する者1名、保留6名にて、期成会としては梶谷剛候補を支持することが決まった。

(3) 期成会組織の強化と活性化

ア 執行部会・事務局会議の活性化

  これまで月1回の執行部会と事務局会議をもって、月1回の幹事会の準備を行ってきた。ただ執行部会と事務局会議の役割分担は必ずしもうまくいっていた訳ではなく、同じような議題で2回会議を行う非能率な運営がなかったとはいえない。この点は来期の検討課題となろう。

イ 幹事会の活性化

  幹事会を活性化するため、今期は幹事会と常議員会の連携を掲げて活動をしてきた。そのための方策としてまず常議員全員を幹事に選任した。

次いで、常議員会の議題を幹事会で議論することが出来るようにするために、幹事会を原則として常議員会の議題が届いてから常議員会が開催されるまでの間に幹事会を開催することを恒例とした。

しかしながら、常議員で幹事会に参加する会員はそう多くはなく、その結果として、常議員会の議題を幹事会で議論することも殆ど出来なかった。また幹事会に参加する幹事の数も、必ずしも多いとは言えなかった。会内の少数派として幹事に立候補し、5月13日の臨時総会で選任された2名の幹事の内1名も殆んど出席がなかった。

  来期は幹事会の活性化のため、より一層の努力が求められよう。

 

第3 その他の活動報告

1 日弁連理事会の総括報告

(1) はじめに

  構造疲労を起こしていた20世紀後年の司法制度を21世紀に向けた改革の論議と行動に終始してきた本年度理事会であった。既に、25回開催され、あと3回程予定されている。他方、平和憲法の危機に直面し、自衛隊のイラク派遣反対の決議にも及んでいるが、ここでは司法改革に焦点を合わせ、項目として整理する。

(2) 司法改革の到達点と課題

ア 司法改革の源流

@ 日弁連の提唱

  H2、刑事改革のため当番弁護士制度を実施(福岡・大分)

  H2.5第一次司法改革宣言

  H4.3日弁連に司法改革推進組織を設置

  以後、改革の牽引車的役割を担う

A 財界の提唱

 @よりおくれて提唱。弁護士を増やし、競争させ、弁護士費用を安く。裁判を早く。

  規制緩和(事前の行政規制から事後の司法救済へ)の立場から改革へ

B 自民党・政府

  規制緩和、弁護士の増加、迅速、市民のアクセスを容易に(利用しやすく、わかりやすく)

  H9.6自民党が司法制度調査会を設置、同年12月最終報告

  H10.5官邸へ(政権交代なしの改革)

イ 審議会の設置と意見書

  H11.7三つの流れが合流→審議会の設置

  審議会での大きなたたかい(のべ60回にわたる13委員のたたかい)

  日弁連司法改革調査室で対応

  H13.6意見書の基本的立場(法を社会のすみずみへ、統治の主体へ、市民のための司法へ(参加を含む)、透明・客観・説明責任(わが国の透明度の低さ)

  意見書の位置

  妥協あるいはせめぎあいの到達点・「和解条項」

  立法化と新たな運用の出発点

ウ 推進法(推進計画と推進組織)の制定以後

  H13.12推進法の中に日弁連の責務

  H13.12設置(オール・ジャパンの組織)

  H14. 3推進計画の制定

  本部、事務局、検討会、顧問会議、関連組織(法務省、最高裁、日弁連、総務・財務・文科・経産などの各省、隣接士業、政党・国会議員など)のせめぎあい

エ 立法作業

    検討会ルートと自民党・与党ルート(官僚と国会議員の関係)

    事務局による立法作業、顧問会議、推進本部

    法制局

    全省庁

    与党審査

    閣議決定

    国会審議

オ 四つの山

    2002秋の国会(法科大学院)

    2003春の国会(迅速法、弁護士制度、裁判官制度、簡裁事物管轄など)

    2004春の国会(裁判員、刑訴、LSC、公的弁護、敗訴者、行訴労働、知財など)

    2004秋の国会(ADR、給費制、Bの積み残し)

カ 到達点

@ 法科大学院関連

    2004.4開校実現 68校 約5500人

    2003.8法務研究財団が第一回適性試験を実施(1万8000人が受験)

    財団が2004.4第三者評価機関のとなるため準備作業中

    カリキュラム・教材等の検討作成

    実務家教員の確保(弁護士から約600名)

    新司法試験への関与

    財政上の支援措置への貢献(私学への補助金25億円、3500人に奨学金)

    修習生の給費制の廃止を当面阻止

A 弁護士制度

    2004.4〜公務就任、営業等が自由化(各界に進出)

    2003.8〜弁護士会の報酬規程がなくなり、個々に報酬基準の作成へ

    2004.4〜綱紀審査会がスタート、綱紀委員会に外部委員の追加

    特任検事に法曹資格付与、司法書士に簡裁代理権付与など

    2004.4〜簡裁の事物管轄が140万円に引き上げ

    簡判・副検事の資格付与を阻止

    5条3号など廃止へ

    日弁連市民会議がスタート

    研修の充実へ

    倫理規程改正作業が進む

    外弁、単独雇用、共同事業の自由化

B 裁判官制度

    2003.7〜指名諮問委員会、地域委員会がスタート(人事の透明化、市民の意見の反映)

    地家裁委員会がスタート(裁判所の運営に市民の意見の反映)

    人事評価制度の導入(透明化、説明責任、外部評価)

    迅速処理のための検証実施へ

    弁護士任官の推進

    2004.1〜非常勤裁判官制度がスタート

    2005〜判事補の弁護士経験がスタート予定

    知財高裁など知財対応

    労働審判制の準備

    「明日の裁判所を考える会」がスタート(市民の意見の反映)

    民訴・人訴改正への対応

    民訴・執行法の改正への対応

C その他

    新仲裁法の成立

    裁判迅速化法の成立(2年以内にすべての裁判を終えることが目的)

    民訴法の改正成立(審理計画策定の義務付け、専門委員設置、少額訴訟60万に引き上げなど)

    人訴法の改正成立(人訴の家裁への移管など)

    民法・執行法の改正成立

    政府が法教育のための検討開始

D 2004通常国会提出予定

2.24自民総務会、2.27閣議決定、国会提出、6.16迄に成立

    裁判員制度(「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案」)

    公的弁護制度(「刑訴法及び検察審査会法の一部を改正する法律案」).迅速充実のための刑訴法改正(上同)−準備手続、証拠開示など.検察審査会制度(上同)

    LSC(「日本司法支援センターに関する法律案」)

    判事補等の弁護士職務経験(「判事補及び検事の弁護士職務経験にする法律案」)

    大学教授などの弁護士資格(「弁護士法の一部を改正する法律案」)

    労働審判制度(「労働審判法案」)

    行政訴訟改革(「行政事件訴訟法の一部を改正する法律案」)

    敗訴者負担制度(「民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案」)

    知財高裁の設置(「知財高裁設置法案」)

    知財審理の充実迅速(「裁判所法等の一部を改正する法律案」)

E 2004臨時国会提出予定

推進本部の存続期限は2004.11.30迄

    ADR法

    給費制廃止

    Dの内、成立しなかったもの

キ 今後の課題

@ カCの法案を成立させること

 但、内容について闘い中のもの(裁判員、刑事法改正、LSC、敗訴者など)

A 法案の成立を阻止すべきもの

    修習生の給費制廃止

    簡判・副検事の資格付与[MSOffice1] 

    敗訴者負担制度

B 今後の運用・実践に力を注ぐべきもの

    カ@法科大学院関連

    カA弁護士制度改革

    カB裁判官制度改革

C 新たな対応あるいは準備をすべきもの

    裁判員制度導入のための準備

    公的弁護制度導入のための準備(弁護人の確保など)

    LSC導入のための準備

    刑事手続きの法曹三者協議(2004.3〜予定)

            (取調の可視化、身体拘束制度の改革など)

   付添人制度の法曹三者協議(すでに開始)

   労働審判制の準備

   改正行政訴訟の積極活用

   行政訴訟改革の第二弾の取り組み

   ADR検討会バックアップ

   知財事件への積極対応

   法律事務所の判事補の受入れ準備

   裁判官改革の第二弾の取り組み

(裁判官の増員、判事補の段階的解消など)

(3) まとめ

  日弁連は司法改革の立法過程で、力量以上のエネルギーを投じてきた。しかし、「市民のための司法」という理想型には未だ道遠しである。裁判員制度の成立過程を見ても、最高裁、法務省に根強い消極論、倭少化論の壁や国会の多数派を占める直接民主制に対する抵抗勢力は堅固であり、此度の機会を逸すれば、国会の勢力分野が変わらない限り、1964年の臨試意見書における陪審制の時期尚早論を再現したまま、半世紀を徒過することになる。現在の司法改革の到達点は堅い扉を漸く開け、歩み始めたところにある。今後も法律家は市民に信頼されつつ、理想型の構築に向けた構想力と期待される力量を発揮してゆかねばならない。

(4) 所感

  今年度の理事会は月2回、午前10時から午後5時頃まで2日続き、厖大な司法改革関連議題にその殆どが費やされた。この間を縫うように、自衛隊のイラク派遣反対決議、人権擁護勧告の採択、理事全員による国会議員に要請活動など、回数、時間数も記録更新中である。

  30余名の単位会から4000名を越す大単位会の理事らいづれも論客揃いで、数多い重要な議題についての質問、討議も活発であった。

  また、時機に遅れざる数々の会長声明、各政党に対する法案の骨子、要綱の各段階で、執行部及び対策本部担当者が傍聴、日弁連意見の表明、説得といった活動が、根強い改革抵抗勢力をかなり押さえるに至った。

  来年度以降においても、立法過程のなかに日弁連が深くかかわらなければ、市民のための「法律」は生み出し得ない。他方、市民への広報をマスコミなどを通して、これまで以上積極的に展開してゆくことも手抜きできない今後の課題である。

  最後に今後の検討課題として、日弁連財政の問題を指摘しておく。ここ数年、司法改革に対応するため、多くの対策本部が組織として設けられ、人材を投入せざるを得なかった。それに伴う予算措置機構の合理化は後廻しとなっている。被疑者国選弁護も段階的実施をせざるを得なかったこともあり、2010年まで多額の負担が見込まれている。しかし、組織、機構の合理化を図る部門はなきに等しい。

自己増殖を宿命とするビューロクラシーを腑分けする機構の検討は当面の重要課題である。

 

2 常議員団報告

(1) 体制  

田中敏夫会長を支える期成会常議員団は、13名で構成

 団長飯田幸光 事務局長木村康則 事務局次長池尾奏・三森敏明

(2) 東弁常置委員会での任務分担

[人事銓衡委員]長谷川正浩 上野廣元 [人事委員]飯田幸光 黒岩哲彦 木村康則 新宅正雄 [入退会営業許可等審査特別委員]紙子達子 横山康博 山下基之 水口真寿美 池尾奏 三森敏明

(3) 日弁連代議員世話人=日弁連理事選挙の公聴会で司会者団 木村康則

(4) 常議員会の日程

原則は毎月7日午後1時〜5時 今年度は14回開催

第1回常議員会の前に常議員団事務局長が常議員会と期成会幹事会の全日程につき出欠調査 田中会長が、全常議員の出席状況表を毎回、常議員会に配布した

西嶋議長の措置を復活させたこともあり出席は良好 皆勤3名 精勤8名

(5) 常議員会の事前打合せ

常議員会当日午前11時から食事しながら増岡研介副会長の説明を受けて方針討議。弁当は、事務局次長が参加人数を確認して注文

  堀野紀会長時代、期成会は副会長も日弁連理事も出せず、事前打合に、三羽正人副会長に来て戴いた。今年度は、事前打合に毎回、必ず増岡研介副会長と代表幹事・代表幹事代行・事務局長など期成会執行部が出席して討議に参加、東弁田中執行部と期成会の方針を十分に理解したうえで常議員会に臨むことが出来た。

また、堀野紀会長時代にあったような選挙期間短縮など期成会の政策と矛盾するようなものが東弁執行部から提案されるようなことも無かった。

(6) 常議員会ニユ−スの発行

  常議員会ニユ−スは、団長・事務局長を除く全員が輪番制で常議員会の翌日の正午までに起案し、長谷川会員が校正し3時までに期成会事務局に届け、5時頃、全期成会会員にメ−ル・FAXして貰い、常議員は、自分に投票してくれた無会派・他会派の先生に郵送した。

(7) 今期の重要議題

〔日弁連総会議案や日弁連からの単位会照会に対する東弁の方針決定〕

  弁護士法改正に伴う日弁連会則・会規の改正(総会議事公開、綱紀・懲戒制度改正、公務就任・営利活動届出制、弁護士報酬会則・会規廃止など) 弁護士報酬規程制定 当番弁護士緊急財政基金特別会費徴収期間3年間延長問題 弁護士職務基本規程問題

〔東弁総会上程議案の決定〕

決算の承認と予算の議決、第2公設事務所(北千住駅西口開発ビル603号室)取得、東弁正副会長に対する経済的支援制度創設、2003年度東京弁護士会宣言、東弁会則・会規の改正(日弁連と同趣旨)、公益活動等義務化の強化

〔東弁での重要議案〕

個人情報保護法新法案に対する東弁意見書承認、第3公設事務所の設置、「在日コリアンの子どもに対するいじめ」問題に関する会長声明、司法改革推進本部勤務の3名の弁護士の会費免除申請許可、共謀罪新設に対する東弁意見書承認、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の見直しに関する東弁意見書承認、弁護士会錦糸町法律相談センタ−開設に伴う一弁、二弁との覚書締結承認、公益活動通報者保護制度に対する東弁意見書承認、犯罪被害者等に対する通知制度に関する東弁意見書承認、消費者保護基本法の見直しに関する東弁意見書承認、公益通報者保護法案の骨子(案)に対する東弁意見書承認、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正に関する東弁意見書承認、東京弁護士会市民会議の設置 少年身柄事件全件付添制度 研修所弁護教官に対する経済的支援制度創設

(8) 重要議案については、田中執行部が頻繁に東弁会員集会を開くとともに定期的に早朝の各派懇談会を開いて会員・会派の意見を十分に聞いて意思疎通を図ったことと期成会でも会員集会・幹事会などで十分に議論してくれたことが、円滑な常議員会の進行を保証した。

 

3 人事委員会活動報告

(1) 各種委員会人事について

期成会人事委員会は、今年度、@一部の会員に会務が集中することのないように幅広い結集を呼びかける、A特に若手会員に会務活動に参加してもらう、B期成会員が委員に入っていない委員会をなくす、という3点を目標に掲げてきた。

しかし、現実には、一部の会員への会務の集中は解消されていないし、今後も容易には解消しないと思われる。若手の会員の結集については、40期代後半から50期代は各期とも大半の会員がいずれかの委員会に所属しており、どこの委員会にも所属していない会員は各期2〜3名に過ぎず、改善の傾向が見られる。40期代前半以前の期については会務への参加状況は悪く、その改善は今後の議題である。期成会員がゼロの委員会は、東弁の厚生、紛議調停の2委員会が残った。

人事委員会としては、上記の問題点を改善するため、引き続き各会員に委員会活動への参加を呼びかけるだけでなく、期成会員で委員会活動に参加していない会員を調査し、その会員に直接参加を呼びかけた。また、期成会員ゼロ委員会をなくすべく働きかけをしている。

(2) 弁護士会役員等の人事について

平成16年度の役員として、期成会は、日弁連常務理事に中村雅人会員(26期)、日弁連監事に小寺貴夫会員(34期)、東弁副会長に橋本佳子会員(33期)、東弁監事に望月浩一郎会員(36期)、関弁連常務理事に小松雅彦会員(36期)、関弁連理事に山下基之会員(39期)をそれぞれ出すことができた。

日弁連・東弁・関弁連とも、期成会としては相応の人数の役員を出しており、各分野での活躍が期待されるところである。

(3) 司法研修所教官人事について

司法研修所民弁教官については、残念ながら候補を立てることはできなかったが、刑弁教官については千葉肇会員(36期)を候補に立て、内定を得ることができた。刑弁教官については、宮原守男会員(6期)を出して以来、期成会からの候補は長年拒否され続けてきたが、今年度、約30年振りに出すことができたことは特記すべきことである。

今後も、毎年期成会からの民弁、刑弁両教官候補を立てていくべきである。そのためには、教官に適する期の会員には、積極的に候補に立つことを期待したい。

 

4 広報委員会活動報告

(1) 委員

  西嶋勝彦 山下基之 川上詩郎 池尾奏 黒澤圭子 伊澤大輔

(2) waの発行

  5月(東弁選挙・新人紹介)

  9月(夏合宿)

2004年1月(田中敏夫東弁会長インタビュー・新人紹介)

(3) B4からA4へ変更しました。

(効果 掲載ページ数が増えたので写真をふんだんに取り入れられる 読みやすい)

(4) テーマ

  ○特集(選挙・夏合宿 新人紹介 その他)

  ○先輩弁護士に聞く

  ○40周年祝賀会

  ○各地OBに聞く

○企画委員会の企画から

(5) 検討課題

ア 読まれているのか 反応がわからない

イ 年3回のペースでいいのか  

ウ テーマの充実

  期成会の広報誌として現在のテーマでいいのかどうかは意見を集約する必要があるかもしれない。今後は、期成会員の事件活動、委員会活動の報告を充実させたいし、また期成会の活性化のため、若手会員の放談会など、期成会の現状を会員に知らせ、問題提起をする広報誌を検討してもいいのではないか。

 

5 企画委員会活動報告

(1) 委員

  委員長 濱田広道 副委員長 片山哲章

  委 員 藤井眞人、中村忠史、石井麦生、上石奈緒、伊藤勝彦、三森敏明

  (新任)坂田洋介

(2) 内容

    ワイン企画(2003/3/25)32名参加(うち弁護士は18名)

    16期40周年記念祝賀会(6/27) 本人8名(夫人同伴1名)

その他40名出席

    邦楽(尺八・箏 9/24) 弁護士 21名参加 その他 19名

    DNA鑑定講演会(10/23) 外部講師を招き他会派にも参加を呼びかけた 22名参加 

    56期新人歓迎会(11/17) 新人19名、一般45名 合計64名の参加

2次会には合計26名参加

    酒蔵見学(2/14) 弁護士 14名参加(うち56期は1名)

その他 10名(弁護士のご家族は5名、友人4名、事務局1名)出席者24名

    ワイン会(2004/3/25)

(3) 結果・反省点

    田部知江子委員、長尾詩子委員が退任し、張委員は期成会を退会したが、新たに坂田洋介委員が加わった。

    ワイン企画(昨年3月)・邦楽鑑賞は、会員(弁護士)以外の参加者の占める割合が大きかった。それはそれで良いことではあるが、本来、会員相互の親睦を目的としている以上、会員にとっても魅力のある企画を目指す必要がある。

    40周年記念祝賀会は、何名かの方から丁重なお礼状をいただくなど好評だったと思われるが、記念品に工夫の余地がある。

    DNA鑑定講演会は、他会派所属の刑事弁護の大家的弁護士からも絶賛される内容であったが、宣伝不足の感があり参加者は22名であった。(もっとも、勉強企画でこれだけ集まることは稀である。)

    56期新人歓迎会は、参加した新人の人数が多かったこともあり盛り上がった。

    民事関係の勉強企画を開催することができなかった。重要な法改正が頻繁に行われているので、弁護士会主催のものとは一味違ったものを実施できないかどうか、勉強企画を模索中。

    各企画とも広告が不十分という傾向がある。遅くとも2ヶ月前までに広告する必要がある。

    需要の点で疑問があるので、家族連れ企画の具体化は見合わせた。

 

6 ホームページ委員会活動報告

  ホームページ委員会は、期成会ホームページの作成・更新等を行っており、今年度は、期成会事務局の協力を得て、以下の更新を行った。なお、今年度、業者に新しいホームページの製作を依頼することを検討し、見積もりを取るなどしたが、予算が付くには至っていない。

(1) 「思い出」のページに、夏合宿等の写真をコメント付で掲載した。

(2) 「期成会通信」や「常議員団」のページに、日弁連や常議員団報告をタイムリーに掲載した。従前、日弁連や常議員団報告についてはファックスで行っていたが、経費削減のため、ホームページやメールマガジンで行うことを進めており、これはその一環である。これにより、期成会の情報は速やかに会員に到達するようになった。

  なお、経費についてはメールの分は削減したが、ファックスで送っている文章の分量が増え、また、B4版をA4版としたために枚数が増えているので、今期はトータルではあまり変化はない。ファックスでの枚数を減らす工夫をすれば経費は削減するが、共同事務所の会員には従来1人分のニュースを送り事務所で増コピーしてもらっていたため、この事務所では1人でもファックスで送る会員が残ればあまりその事務所に対する経費は変わりがないことになる。今後とも会員のメール登録を増やして、できるだけ経費の削減に努めたい。

(3) メーリングリストはまだ会員の登録は100名にいかないが、登録会員の中では自由な意見交換ができている。さらに有効に活用させていきたい。

(4) 「会員名簿」のページを新設し、最新の会員名簿を掲載した。

 

7 有事法制プロジェクトチーム活動報告

(1) 委員

飯田幸光 二瓶和敏 脇田康司 滝沢香 泉澤章 川上詩朗 海老原信彦

(2) 期成会の日弁連有事法制問題対策本部委員・・

四位直毅 田中敏夫 飯田幸光 脇田康司 海老原信彦 滝沢香 川上詩朗

(3) 日弁連有事法制問題対策本部など日弁連の2003年度中の主たる活動の概要

5月14日 有事法制三法案の衆議院特別委員会採択に対する日弁連会長声明発表

5月20日 日弁連・東京三会で「武力で平和がつくれますか?イラク攻撃と憲法・有事法制」と題するト−ク・ライブ開催

6月 6日 有事法制三法案の採択に対する日弁連会長声明発表

7月 4日 イラク特別措置法案の衆議院通過に対し抗議する日弁連会長声明発表

7月26日 イラク特別措置法案の参議院通過に対する東弁会長声明発表

10月17日 第46回日弁連人権擁護大会で特別報告

11月19日 自衛隊等のイラク派遣に反対する日弁連会長声明発表

11月29日 国民保護法制に関する日弁連主催の会内学習会開催

(12月9日 「基本計画」の閣議決定に反対・抗議し自衛隊等のイラク派遣中止を求める東弁会長声明発表)

2月 3日 自衛隊のイラク派遣に反対する日弁連理事会発表

イラクへの自衛隊派遣反対の会長声明を出した単位会は2/2現在で21単位会

2月 7日 日弁連・大韓弁護士協会・東京三会で「東北アジアにおける国連NGOの役割と市民による平和構築を考える」と題する東北アジアシンポ開催

2月25日 日弁連・東京三会で「自衛隊のイラク派遣に反対する緊急報告集会−イラク民衆の目から自衛隊を見る」と題する集会開催

(4) 有事法制プロジェクトチームの会議日程

4月16日(第1回会議) 5月20日の日弁連集会への出席者確保の手立て

4月30日(第2回会議) 5月20日の日弁連集会への出席者確保の手立て

5月28日(第3回会議) 有事法制の国会情勢の分析

7月 4日(第4回会議) 東弁憲法問題協議会がイラク特別措置法衆議院通過に関して東弁会長声明を求めないとしたことを受けて、人権擁護委員会から東弁会長声明を求める発議をするように働きかけることを確認

9月 9日(第5回会議) 自衛隊のイラク派遣問題の討議

3月17日(第6回会議) 上程された有事関連7法案の問題点の討議

(5) まとめ

有事法制プロジェクトチームは、日弁連・東京三会主催の集会やシンポジウムへの参加などのために努力してきた。この中で、脇田康司日弁連理事、期成会執行部、期成会会員の多大の御尽力・御協力を戴いた。1月9日から始まった通常国会では、イラクへの自衛隊派兵承認案のほか、有事関連7法案、即ち、国民保護法案(日弁連の言う国民統制法案)、外国軍用品等海上輸送規制法案、米軍行動円滑化法案、自衛隊法改正案、交通・通信総合調整法案、捕虜等取扱法案、非人道的行為処罰法案などの有事関連法案の国会審議が行われるので引き続き、各位の特段の御尽力・御協力をお願いしたい。

 

8 弁護士任官推進本部活動報告

(1) 2002年の水野邦夫さんに続いて2003年4月から桑原宣義さんを弁護士任官に送り出すことができた。

12月1日の総会には、両裁判官においで頂き、お話をうかがい懇親を深めた。

弁護士が裁判を進める上で有益なお話も聞くことができた(詳細はWa‘04.1橋太郎文参照)。

若手会員の中には、弁護士任官を考えている者もいるので、今後も任官者のお話を聞く機会を多く設けたいと思う。

(2) 2004年1月からスタートした非常勤裁判官に期成会から紙子達子、金澄道子さんが就任した。初めての制度を軌道に乗せるべく東京家庭裁判所家事調停官として執務しておられる。

(3) 弁護士任官の採用は、毎年通常任官、非常勤裁判官各30名ほどの予算が用意されている。しかし弁護士会がこれに完全に応えるのは至難である。

東弁は、任官しやすい環境をつくるため、公設事務所の設置を進めている。02年6月開設の東京パブリック法律事務所に石田武臣所長、伊藤方一勤務弁護士を送り出し、渋谷に予定されている第3公設事務所に三澤英嗣さんを送り出す。しかし、これも自分の事務所を出て、公設事務所へ移ることの困難さを伴い、所長・勤務弁護士の募集に苦労しているのが現状である。任期制をとることにより、各弁護士の負担を軽減しようとしているが任期後の後任選任が、3つの公設事務所から、頻繁に来る日は近い。これに応えるため、皆で知恵を出しあうことが早急に求められている。


2004年度期成会活動方針

 

 政府は、イラクへ自衛隊派遣を強行した。憲法の平和主義の理念が揺らいでいる。また、リストラ、倒産、ヤミ金の横行、児童虐待、犯罪など、社会的弱者への人権侵害は深刻化している。

 このような状況であるからこそ、私たち弁護士・弁護士会が、憲法の基本原理に則り、人権擁護と社会正義の実現に尽力することが強く求められている。

 人権と正義を保障する砦は司法である。私たちは、社会のあらゆる分野の法的要求に応える司法、なかんずく社会的弱者の要求にこたえる開かれた司法を実現させなければならない。

 司法改革は立法化の大詰めを迎えている。2004年度通常国会に、司法改革推進本部から、裁判員制度、行政改革、労働法、総合法律支援、弁護士報酬敗訴者負担など、10本の法案が提出された。

 改革を真に市民の司法の実現に結びつけるために、立法段階から施行・運用段階に至るまで、弁護士・弁護士会は、制度に命を吹き込む活動に全力で取り組む必要がある。

 そのためには、弁護士自治を堅持し、弁護士会内の合意を図り、団結して行動し、弁護士・弁護士会の主体的力量を社会に示していかなければならない。

 期成会は、2004年1月13日に発表した「私たちの政策」に基づき、次の方針で取り組む。

 

1.活動のスローガン

「議論とともに実践を!」

「一人一役、みんなで支える」

 

2.活動の柱

@ 市民の司法へのアクセスを拡充し、かつ市民の人権擁護を実現する司法改革を推進するため、制度づくり運動と制度の運用に参加し行動する。

A 弁護士会の各種人権擁護活動に参加するとともに、憲法の平和主義の今日的意義について議論を深め、弁護士会の方針づくりを支える。

B 会員4500人を超えた東京弁護士会の会務運営についての中・長期の課題を整理し、先行的な政策討議に取り組む。

C 期成会会員の年代差が50年を超えたという状況をふまえ、会員間の知的・人的交流を一層深める企画を追求する。

D 会員500人を超えた期成会組織(執行部、幹事会、常議員団、各委員会、総会)の運営改革を図る。

E 全ての会員、特に40期以降の会員の活力を引き出し、会活動への参加を促す。

 


2004年度期成会各委員会活動方針(案)

 

1 企画委員会

年間計画は、新人への案内を重視し、2003年10月を起点として策定した。

(昨年11月の新人歓迎会で、昨年10月から本年9月までの年間計画を配布)

(1) 委員

委員長:濱田広道  副委員長:片山哲章

委 員:藤井眞人、石井麦生、中村忠史、上石奈緒、三森敏明、伊藤勝彦、

坂田洋介      ※56期からの参加を募る必要がある。

(2) 内容

  平成16年2月  造り酒屋見学(14日)

       3月  ワイン会(25日)

       5月  勉強企画(担保執行法改正) 

       6月  17期法曹40周年祝賀企画

       7月  暑気払い(屋形船など)

       9月  勉強企画(内容未定)

  ※なお、刑事弁護研究会主催の講演会と新人歓迎会を11月に実施する予定。

(3) 予算

    一昨年実施した覚せい剤鑑定の講演会のテープ起こししたものを白表紙形式でよいので出版したい。その予算として、525,000円(税込・1000部)を計上願いたい。1冊800円程度で頒布すれば元が取れる。内容は濃い。

    その他、通常の企画補助費として、前年度と同様の予算をお願いしたい(03年度は、各種行事費として500,000円が計上されていた。)。

 

2 ホームページ委員会

 (1) 会員間におけるホームページの積極的な活用、期成会外に対する広報の充実を図るため、予算をつけてもらい、業者に対し、ホームページの製作を依頼する予定である。

   それに伴い、下位ページの統廃合を行ったり、会員名簿をエクセルファイルの形式でダウンロードできるようにするなどして、ホームページの利便性を図る予定である。

 (2) 会員に対し、有益な情報を迅速に伝達するため、更新をよりタイムリーに行う予定である。このため、56期の佐々木会員を委員会のメンバーに迎えるなど、人員の充実を図った。若手会員の多くの参加を希望します。