東京地方裁判所委員会・同家庭裁判所委員会の各委員への
バック・アップ態勢強化について(提言)


2004年7月4日

東京弁護士会

 会長 岩井重一 殿

東京弁護士会 期成会

代表幹事 斎藤義房

 

東京地方裁判所委員会・同家庭裁判所委員会の各委員への

   バック・アップ態勢の強化について(提言)

 

 「裁判所運営に国民の健全な常識を反映させることは、裁判所に対する国民の理解と信頼を高め、司法の国民的基盤を強化することにつながる。」との司法制度改革審議会の意見書を受けて、2003年8月より、地方裁判所委員会が発足し、家庭裁判所委員会が改組された。

 東京地方裁判所と同家庭裁判所においても、市民代表と複数の弁護士が参加した委員会が発足し、議論が開始されている。裁判所を市民により身近で開かれたものにするために、設置の趣旨に沿って裁判所委員会を活発に機能させていくことが重要である。

 全国各地の裁判所委員会の運営状況が裁判所主導型になりつつあるとの報告が聞こえてくるなか、東京における裁判所委員会の運営状況が全国の裁判所委員会に与える影響はきわめて大きい。

 上記の問題意識から、当会幹事会においては、東京地方裁判所委員会、同家庭裁判所委員会の各委員への弁護士会のバックアップ態勢のあり方について議論したので、その結果をふまえ、とりあえず当面の東京弁護士会および東京三弁護士会の施策として、次のように提言する。

 

1.東京三弁護士会の裁判所委員会バックアップ協議会の態勢強化

 1) 今次の司法改革にあたり、日弁連は、司法制度改革推進本部の11の検討会ごとに弁護士委員に対するバックアップチームを設け、検討会の各期日に先立って、検討会の持ち方についての要望、各テーマについての資料収集、各テーマごとの弁護士委員の発言内容などについて、事前準備を行った。あわせて、弁護士委員の発言への弁護士以外の委員の理解を求めるために、弁護士会の見解に耳を傾けてくれる可能性のある弁護士以外の委員に対して問題点の事前レクチャーを行なうとともに、資料提供を行った。そのなかで、検討会で多くの委員が発言して実質的な議論ができるような環境整備を行なった。

   この経験は重要であり、裁判所委員会についても応用すべきである。

   今後、裁判所委員会としてパブコメ募集や市民公聴会を開催するなどの活発な活動を展開することをも視野に入れ、弁護士委員だけでなく、弁護士以外の委員にこそ積極的に発言してもらうための準備を強化すべきであり、そのための運動の観点を持った機動的なバックアップ態勢が必要である。

   具体的には、三弁護士会の協議会の委員の強化とともに、裁判所委員会で具体化した討議テーマに対応して、当該テーマに詳しい会員を特別委嘱委員としてその都度メンバーに加えるという、柔軟かつ弾力的な運用が有効であろう。

   例えば、簡裁の調停がテーマになったならば、簡裁の調停委員や司法委員を経験している会員や、かつて司法問題委員会等で簡裁問題に取り組んだ会員を特別委嘱委員とする方法である。

 2) また、テーマごとの事前準備を重視するという観点からみると、地裁・家裁両委員会の全体協議会とは別に、地方裁判所委員会のバックアップ部会と家庭裁判所委員会のバックアップ部会を設け、部会ごとの小回りの利いた準備作業を重視すべきである。

 

2.会内外への委員会の議論内容の広報の強化

 1)  裁判所委員会の議論状況が会員にほとんど伝わってこない。

   リブラの活用、裁判所委員会バックアップ協議会ニュースの発刊など、委員会の議事内容を全会員に公表し、会内の関心を盛り上げる必要がある。会員の意見募集箱やメール、FAXなどの方法で、会員からの意見も受付けるようなシステムを作るべきである。

 2) 市民への広報と市民からの意見収集も進める必要がある。

   例えば、

   @ 現在および過去の東弁市民モニターに対して情報提供を行うとともに、意見募集を行ない、積極的に意見交換の場を設ける。

   A 東弁市民会議のメンバーに情報提供を行ない、同市民会議の定例テーマとするなど、市民会議と裁判所委員会の議論を連動させる。

   B 司法記者クラブ、法曹記者クラブとの定例懇談会のテーマに取り上げる。