2007年度期成会基本政策



二〇〇七年度私たちの政策 東京弁護士会 期成会

大量増員下の弁護士自治を守ろう

目 次
■ はじめに
〓憲法を護り定着・発展させるための議論と体制を
〓「改正」教育基本法への的確な対応を
〓「日の丸・君が代」の強制をなくすために
〓放置できない戦後補償問題
〓国際紛争の平和的解決を2頁
〓共謀罪・依頼者密告(ゲートキーパー)制度に反対を
〓管理強化の少年法「改正」に反対を
〓高齢者・障害のある人の権利擁護の体制整備を
〓公害・環境問題へのより一層の取り組みを
〓多民族・多文化の共生する社会をめざして
〓両性の平等と労働者の権利の前進を
〓引き続き高金利問題の監視を
〓犯罪被害者支援の更なる前進のために3頁
〓「改正」刑訴法のもとで刑事弁護の後退を許さず真の改革を
〓刑事裁判への犯罪被害者の関与は慎重に
〓取調べの全過程可視化実現に向けた弁護活動の実践を
〓拘禁制度改革の残された課題へ取り組もう
〓裁判員制度への取り組みの強化を
〓弁護士任官の更なる推進を
〓裁判官の任命に主体的参加を
〓裁判官の適正な人事評価の前進を4頁
〓東京地方裁判所委員会・家庭裁判所委員会の充実を
〓他職経験制度の発展を
〓発足した日本司法支援センターの課題
〓被疑者国選弁護制度の充実を
〓少年当番付添人制度の定着を
〓都市型公設事務所の更なる充実を
〓行政事件訴訟法の活用と第二ステージ改正を5頁
〓労働審判制度の適正な運用と更なる活用に向けて
〓充実した法教育を
〓裁判官・検事の増員と司法予算の拡大を
〓八王子支部の立川移転にあたっての課題
〓法曹養成のための地道な努力を
〓大幅増員に対応した司法修習の充実を
〓大増員時代へ向けて積極的な業務対策を
〓研修の充実を6頁
〓会員サービスの充実を
〓不祥事防止の取り組みを
〓選挙の運用改善を
〓会務活動への積極的な参加を
〓若手会員に日弁連会費の減免を
〓東弁財政の改革を
〓日弁連の課題
〓関弁連の課題
はじめに
 人権が守られ、尊重されるためには、平和でなければならない。
 弁護士の活動も、平和であってこそ力を発揮できる。
 教育基本法が改正され、憲法改正国民投票法案が国会で審議されはじめた。
 ゲートキーパー法案も登場した。日本国憲法が制定されて60年、自民党政府は戦争ができる国にすべく憲法改悪へ具体的に歩みだした。
 今まさに、弁護士の活動の基盤がゆさぶられている。
 その時代に、法曹人口が大幅に増加する。私たちは、若手法曹に夢と希望を与え続けることができるのか。また、法テラス等の新制度の担い手を継続的に確保していけるのか。司法制度改革に決断を下した時代の弁護士として、新しい制度の運営に責任を共有していかなければならない。
 ここで、法曹人口増大に対する対応を誤ると、自治権を有する強制加入団体である弁護士会の存立基盤を危うくする。自治権を失えば、今のような自由闊達な各種人権擁護活動や権力の横暴に対するチェック機能を果たすことはできなくなる。
 私たちは、この歴史の重大な岐路に立っていることを深く認識し、次の政策を提言する。

平和と人権のために
憲 法・国際平和
憲法を護り定着・発
展させるための議論
と体制を
 これから5年以内の改憲を内閣の使命とする安倍晋三内閣が発足した。この内閣は、憲法9条を改正して日本を「海外で戦争できる普通の国」に変えようとしているだけでなく、復古的価値観に基づき、統治機構や基本的人権についても「美しい国」像に沿って改定しようとしている。
 憲法・国際人権法などに依拠して平和を守り市民の人権を擁護すべき使命を持つ弁護士・弁護士会は、改正案の具体的内容に即して適切な意見を表明し行動する必要がある。特に06年日弁連会長選挙で全ての会長候補者が憲法9条2項を含めた恒久平和主義の堅持を選挙公約に掲げて会員の広範な支持を得た実績に照らして、05年度日弁連人権擁護大会での宣言を更に前進させる会内合意を早急に形成する努力が必要である。
 国民投票法案についても、その本質が国民の利益に反する憲法改正を狙ったものであり、主権者たる国民の意思が十分に反映されない仕組みになっていることを明らかにして強く反対していく必要がある。
 憲法改正問題については、活動の指針となる日弁連「憲法の定着と発展のための行動宣言」(仮称)を制定するとともに、日弁連及び各単位会に調査・研究・運動を担う憲法問題対策本部を設置すべきである。

「改正」教育基本法への的確な対応を
 中教審答申後3年余りを経て、与党の政治的判断から06年通常国会に提出された教育基本法「改正」法案は、子どもの権利としての教育の観点が窺われず、「不当な支配」条項を変更し、教育振興基本計画と相俟って教育行政の内容介入への歯止めを取り除き、徳目条項を教育目標として思想良心の自由を脅かす危険を伴うものであった。東弁は直ちに法案に反対して廃案を求める会長声明を出し、日弁連も法案に反対意見を表明し、拙速な成立に反対も含め意見表明を行った弁護士会は50を数える。法案は、臨時国会に継続審議となり、「いじめ自殺」問題、高校の単位未履修問題、教育改革タウンミーティングでの「やらせ発言」問題などが起こる中、衆議院での与党単独強行採決を経て参議院に送られた。そして世論調査では、慎重審議を求めて臨時国会での成立に反対が多数を占めたにもかかわらず、与党の政治的思惑が優先され、成立に至った。「改正」法の下では、国民の思想良心の自由、子どもの思想良心形成の自由・教育への権利・成長発達権に抵触する形での教育「改革」の加速や、人気取り世論操作的な教育振興基本計画の運用も予想される。既に先取り的に行われているこれらの問題の動向に注目し、的確な対応を行う必要がある。

「日の丸・君が代」の強制をなくすために
 東京都教育委員会は、03年10月23日に教職員に対して「日の丸・君が代」を事実上強制する通達を発令し、以後、教育現場で「日の丸・君が代」を強制する政策を強引に推し進めてきた。都教育委員の中にはこの事態を、教育基本法改正の先取りとして公言する者までいた。
 06年9月21日、東京地裁は、教職員に対して「日の丸・君が代」を強制する10・23通達およびそれに基づく校長の職務命令が、憲法19条で保障する思想、良心の自由に反し、また、教育基本法10条1項の「不当な支配」に当たるとする極めて正当な判決を言い渡した。
 この判決は、判決言い渡し直後から始まった国会での教育基本法「改正」論議に一定の影響を与えるとともに、東京で行われていることが全国に波及することを食い止める役割を果たしたと考えられる。
 このような判決を勝ち取ることができたのも、400名を超える教職員が、東京都の事態をこのまま看過しえずと立ち上がったためである。私たちは引き続き「日の丸・君が代」の強制をなくすため、これら声を上げた教職員に対し、助力していく必要がある。

放置できない戦後補償問題
 日本の戦後補償関係で、韓国や中国との関係で従軍慰安婦、強制連行・強制労働、遺棄毒ガス問題等が、未解決のままくすぶり続けている。
 これらの問題は、戦争被害者の権利救済だけでなく,アジアと日本の平和と友好の関係を未来にわたってどう築いていくかという課題と密接に関わっている。
 その意味で、政府は靖国参拝や教科書問題などの歴史認識を巡る問題を曖昧にせず、きちんと向き合う必要がある。
 戦時中の被害者は高齢化し、遺棄毒ガス問題は現在も発生している。いずれも速やかに解決されなければならない。93年の日弁連決議,国連人権小委員会やILO条約適用勧告専門家委員会の勧告、を踏まえ,日本政府は、この問題の法的、道義的、歴史的責任を認識しつつ、立法を含めた現実的な解決の措置を取るべきである。

国際紛争の平和的解決を
 政府は、国会での十分な議論や国民への説明が不十分なまま、有事法制3法、国民保護法など有事法制関連7法、イラク特措法などを制定した。しかも、イラク特措法にさえ違反してイラクへ武装した自衛隊を派遣した。陸上自衛隊だけでなく航空自衛隊を含めた完全撤退が必要である。
 日弁連を始めとして弁護士・弁護士会は、テロや拉致などの犯罪にも米英などによる戦争にも反対する活動を一貫して行って来た。これからも、憲法を擁護する立場を堅持して活動を強化する必要がある。具体的には、@国民保護法などの実施に関する政府・地方自治体による国民保護計画などへの批判的検討と意見表明、A緊急事態対処基本法案に対する調査検討、Bイラクからの自衛隊完全撤退の要求継続、C宗教・民族・習慣などの違いを乗り越えて共生共存する世界の構築のための努力、などをする必要がある。
 イラン・北朝鮮等の核兵器保有を巡る問題についても、弁護士会は、憲法を擁護する立場から平和的解決を求め続けることが重要である。

共謀罪・依頼者密告(ゲートキーパー)制度に反対を
 国際的組織犯罪防止条約の国内法化の一環として国会に上程された共謀罪法案は、長期4年以上の犯罪(合計619)について、団体の活動としての犯罪の共謀そのものを処罰するもので、着手を犯罪成立要件とする刑法の基本原理を根本的に転換し、構成要件の広汎性・不明確性、共犯供述の重視などと相まって、刑法の人権保障機能を大きく侵害するものである。法案は、広範な反対運動もあって03年1月の国会上程後未だに成立していない。しかし政府・与党はその成立をあきらめておらず、引き続き反対運動への取り組みを強化していく必要がある。
 マネー・ロンダリング対策やテロ資金対策のため、従来の金融機関に加え弁護士等の非金融機関に対しても疑わしい取引の報告義務等を課す依頼者密告制度すなわち「犯罪収益流通防止法」(仮称)が次期通常国会に上程されようとしている。この法律は、弁護士に対して依頼者を密告することを義務付けることによって、弁護士の守秘義務を侵害し、市民の信頼の上に成り立つ弁護士制度の根幹を揺るがすものである。届先については、金融庁から警察庁へ変わり、さらに日弁連にするとの提案もあるが、密告制度の本質は何らかわらず到底容認できない。引き続き反対運動を展開する必要がある。

人権擁護
管理強化の少年法「改正」に反対を
 06年2月に少年法「改正」法案が国会に上程され、継続審議となっている。この法案は、以下のとおり子どもへの監視を強めるものである。
 14歳未満の子どもが起こした事件は犯罪にはならない。しかし法案は、この子どもの事件についても、警察の調査権限を認めようとしている。重大な事件を起こした子どもは複雑な家庭環境などを背景としている場合が多い。そのような子どもに警察が自白を迫っても、真の解決にならないだけではなく、嘘の自白につながる危険性もある。
 「ぐ犯少年」とは「将来犯罪を犯すおそれのある少年」である。法案は「ぐ犯である疑いある少年」を警察官が調査できるとしている。「おそれの疑い」であるから、奈良県補導条例の「不良行為」と同じように、広すぎて歯止めがない。これではすべての子どもが警察の監視下におかれることになってしまう。
 現行法上、少年院に収容するのは14歳以上の少年となっている。ところが、法案は14歳未満の子どもも少年院に収容できることにしている。14歳未満の子どもが事件を起こすのは、親などの大人との信頼関係が築かれず、愛情を受けなかったことなどが原因であることが多いのであるから、暖かい家庭的な環境の中での「育て直し」こそが大切である。
 このような子どもたちへの管理主義の強化は、子どもの健全育成にとって問題であるばかりでなく、子どもの権利条約に反している。弁護士会は引き続きこの法案に対する反対運動を展開していく必要がある。

高齢者・障害のある人の権利擁護の体制整備を
 認知症高齢者の消費者被害や虐待の防止等を含めて、高齢者・障害のある人の権利擁護のため成年後見制度の果たす役割は大きい。しかし、手続の簡素化、手続費用の低額化など、制度として利用しやすくするために改善すべき点が多々ある上、弁護士の後見人等候補者が不足しつつある。弁護士会として積極的に候補者を募るとともに制度改善のための提言、申入れを行う必要がある。
 06年4月から高齢者虐待防止法が施行された。同法の運用においては、弁護士会への期待が大きく、これに応える体制整備が求められる。
 障害者福祉においては、06年4月、障害者自立支援法の施行にともない、利用料の一部負担制が導入され、利用抑制が生じつつある。低所得者のための制度改善を求めることが必要である。
 弁護士会の高齢者・障害のある人のための権利擁護活動と法テラスとの連携も不可欠である。早急に連携のための体制整備を行うべきである。
 また、弁護士会自体をより高齢者・障害のある人に開かれたものとするため、会館のバリアフリー化も必要となっているといえよう。

公害・環境問題へのより一層の取り組みを
 弁護士・弁護士会の環境問題への取組みに対する市民の期待は大きい。そして一定の弁護士あるいは弁護士会がこの問題に取り組み、多くの成果をあげてきた。その一方で、新しい公害・環境問題が発生し、それへの対処も急務である。
 一昨年からマスコミをにぎわしてきたアスベスト問題は06年3月27日施行の「石綿による健康被害の救済に関する法律」によって、一応の立法的解決をみた。しかし、同法による救済給付の支給が極めて低水準で、被害者の損害のてん補にはなっていないだけでなく、ビルの解体現場や廃棄物処理施設などからのアスベスト発生防止対策は未だ不十分である。この問題に対する司法的な解決の必要性は極めて高い。
 また、シックハウス症候群に代表される化学物質汚染、低周波公害、電磁波公害などの新しい公害問題に関する相談が弁護士会に数多く寄せられている。しかし現状では、これらの問題は、それを担う弁護士が足らず、相談者の期待に十分に応え切れていない。
 公害、環境事件を担う弁護士の育成が急務である。東弁は二弁と共催で公害・環境連続講座を開催している。多くの弁護士の参加が望まれる。

多民族・多文化の共生する社会をめざして
 日弁連は、04年の人権大会で「多民族・多文化の共生する社会の構築と外国人・民族的少数者の人権基本法の制定を求める宣言」を採択した。同宣言では、外国人及び民族的少数者の基本的人権を確立することを通じて、お互いの違いを認め合う豊かな多民族・多文化の共生する社会を築き上げようとの提言を行っている。引き続いて、日弁連は、05年12月には、「外国人の出入国・在留管理を強化する新しい体制の構築に対する意見書」を公表し、外国人に対する差別的取扱の禁止等の観点から提言を行っている。
 ところで03年神戸家裁は家事調停委員について兵庫県弁護士会推薦の韓国籍の女性会員の採用を拒否した。06年仙台家裁は家事調停委員について同様に韓国籍を理由に採用を拒否した。同年、東京地裁は東京簡裁の司法委員につき当会推薦の会員を韓国籍であることを理由に委嘱を拒否した。
 これら私たちの足元である司法の場での採用拒否事案に対して、関係弁護士会は、裁判所に対し任命を求める申入をした。
 家事調停委員や司法委員について国籍要件の根拠となる法律は存在しない。
 弁護士会は、今後も外国籍の会員についての推薦を諦めることなく続け、採用拒否に対しては、毅然たる態度で臨み、多民族・多文化の共生する社会の構築を司法の場から実現すべく努力していく必要がある。

両性の平等と労働者の権利の前進を
 06年の均等法の改正では、焦点となっていた間接差別の禁止が明記されたものの、禁止事項は「転勤を昇進の要件とする」など3点の限定列挙とされてしまった。そのため、この限定列挙に対しては逆に裁判等による救済が制限されるとする反対意見が国会に集中し、衆参の付帯決議で、他にも間接差別として違法とされる可能性がある類型もあることを周知し、間接差別の対象の見直しを機動的に行うとされた。東弁としても、今後も一見男女差別とは見えにくい巧妙な基準での差別防止のために注意を喚起していく必要がある。
 現在、一定年収(経済界は400万円と提案)以上の労働者については労働時間管理を行わないホワイトカラー・エグゼンプションを導入する労基法改正が行われようとしている。しかしこの制度は労働時間制限をまるごと取り払い、長時間労働に拍車をかけるもので到底賛成できない。東弁でも新しくできた労働法制委員会と両性の平等委員会が中心となって反対のための緊急な対応をする必要がある。
 非正規雇用の急増で格差社会の問題がクローズアップされているが、非正規雇用の大半は女性であり、彼女らは劣悪な労働条件に苦しんでいる。その対策として、「有期雇用を野放しにしない」「解雇に正当理由を必要とする」「時間短縮の実現」など働く者の権利保障の観点からの提言をする必要がある。

引き続き高金利問題の監視を
 日弁連は、貸金業規制法の見直しに対し、いわゆるグレーゾーンの廃止をめざし、高金利引き下げ対策本部を設置し、取り組んだ。
 金融庁における検討会、与党の検討会、法案作成に対する取り組みなど、まさに同時進行で全国の弁護士が一丸となって完全にコミットした活動を展開した。司法書士会、消費者団体、労働団体とも連携して、340万人の請願署名、地方議会請願、マスコミ対策を行い、節目にはシンポやデモ行進も成功させ、業界の逆流意見を封鎖することができた。敗訴者負担など、過去の日弁連の運動に学び、これらの成果をさらに前進させた活動として、歴史に残る実績を積み重ねたものと言える。
 利息制限法の制限があるにもかかわらず、貸金業規制法、出資法の金利がそれを上回ることから、金融業者の違法金利取得がまかり通り、多数の多重債務者が生まれ、借金苦の自殺などを招いてきた。06年の人権擁護大会でも貧困問題をテーマにし、この問題を社会に大きく訴えた。
 その結果、ようやく、貸金業規制法の金利も利息制限法の金利にあわせることでいわゆるグレーゾーンの廃止をかちとった。今後も高金利問題への監視の手を緩めてはならない。

犯罪被害者支援の更なる前進のために
 04年に犯罪被害者等基本法が成立して以後、我が国では、多方面において、犯罪被害者支援の施策が進められている。06年度において画期的であったのは、同年10月に発足した法テラスで、犯罪被害者支援が「司法過疎対策」等にならぶ目標として掲げられ、専門の相談窓口も設けられたことである。
 弁護士は、この法テラスにおいて、相談窓口対応や、法テラスからの紹介に応じて事件を受任するなど重要な役割を果たしている。
 東弁では、現在、平日の午後1時から4時まで、毎日相談を行っており、法テラス東京に対しても、相談窓口担当弁護士を派遣し、精通弁護士名簿を提出するなど、積極的に協力している。学者や犯罪被害者を招いての学習会・講演会・事例報告なども行っている。
 また、東京3会では、統一のリーフレットをつくり、関係諸機関に配布しているが、関係諸機関から「3つの弁護士会があるので、どこを紹介すればよいのか迷う」という意見が出ていることを踏まえ、東京3会による相談電話の統一を検討している。
 来年度は、@東京3会での相談電話の統一の実現、A法テラス東京の犯罪被害者支援の更なる発展への尽力、B他機関(警察、検察、社団法人被害者支援センター、民間団体)との連携強化、C犯罪被害者の刑事訴訟参加の研究と制度設計のあり方に関する消極説も踏まえた検討、などに取り組む必要がある。

刑事手続
「改正」刑訴法のもとで刑事弁護の後退を許さず真の改革を
 被告人・弁護人の防御権の確保・実現と刑事裁判の充実の視点からすると,争点整理後の新たな主張・立証の原則禁止、開示証拠の目的外使用の原則禁止と制裁、出廷命令・在廷命令等訴訟指揮の実効性確保のための制裁規定などは、被告人・弁護人の防御権を大きく後退させ侵害する危険がある。被告人の防御権の拡充につなげる弁護活動の実践は、不可欠である。
 この一年における刑事裁判の現状をみると,人質司法といわれている保釈の運用が,不十分ながら少しずつ緩和されているという積極的側面もあるが、問題点として、@公判前整理手続事件に関しては,公判前整理手続の当初から公判期日まで指定する迅速すぎる進行により,被告人の防御権の侵害が危惧される例が、A開示証拠の目的外使用の禁止に関しては、検察庁が法科大学院におけるリーガルクリニックにおいて院生に刑事記録閲覧を許さない例が、B出廷命令に関しては、被告人・弁護人の防御権の侵害が危惧される例などが、見受けられる。
 今後も、私たちは個々の弁護活動の中で、上記の視点を踏まえて改正刑事訴訟法下の刑事弁護が後退することのないよう努めなければならない。

刑事裁判への犯罪被害者の関与は慎重に
 法制審刑事法(犯罪被害関係)部会は、刑事手続において犯罪被害者の利益を保護するため、以下の法整備の検討に着手している。
 @損害賠償請求に関し、刑事手続の成果を利用する制度、A公判記録の閲覧及び謄写の範囲の拡大、B犯罪被害者等に関する情報の保護(〓公開の法廷において性犯罪等の被害者の氏名等を明らかにしない制度、〓証拠開示の際、相手方に対して性犯罪等の被害者の氏名等が知られないようにする制度)、C犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる制度。
 しかし、@については、刑事事件が係属する裁判所に同時に民事訴訟を係属させることには根本的な疑問がある。
 Bの〓については、事案ごとに運用面で工夫することは可としても、一般的制度として法制化することは、裁判の公開性に反する恐れがある。
 Bの〓については、被告人・弁護人の防禦・弁護活動が制限される恐れがある。
Cについては、被告人が加害者か否かの審理中に、犯罪被害者に特別の地位を認めることは無罪推定原則に反するなど、刑事訴訟の根幹を揺がしかねない。犯罪被害者の保護は必要だが、それに傾きすぎて被告人の人権や弁護権を侵害することがあってはならない。慎重に対処すべきである。

取調べの全過程可視化実現に向けた弁護活動の実践を
 東京地検で、検察官による被疑者の取調べの録画・録音の試行が始まった。
 今まで、日本の捜査機関は、密室でなければ真相は解明されず、真実は告白されないとして取調べの録画・録音を頭から否定していた。それにもかかわらず検察庁が一歩踏み込んだのは、裁判員裁判下では自白調書の任意性・信用性の争いを長期間にわたって行なうことは、充実した迅速な裁判の実現の観点から認められないとの認識があったためである。しかし、この試行には、取調べのうちどの部分を録画・録音するかが検察官の裁量に任されている、警察の取調べが対象になっていない、などの問題がある。取調べの一部の録画・録音では、録画・録音されていない部分をめぐって争いが残る可能性が高い。とは言え、裁判所内部でも、可視化こそ取調べの実態を検証する最も有力で相当な方法であるとの大きな流れも出ている。
 一部であっても録画・録音をするこの機会を、全過程可視化実現に向けてのチャンスにしなければならない。
 私たちは、東弁の06年7月の取調べの可視化実現に向けての決議を踏まえ、捜査機関に「全過程の録画・録音」を申し入れ、被疑者ノートを作成し、徹底して任意性・信用性を争うなどの弁護実践に力を尽くさなければならない。

拘禁制度改革の残された課題へ取り組もう
 受刑者処遇法が05年5月24日から施行され、06年6月に成立した未決拘禁法も1年以内に施行される。今後は、新法の運用を注視し、5年後の見直しにつなげる必要がある。中でも、刑事施設視察委員会と留置施設視察委員会の役割は重要であり、各弁護士会推せん委員の活動をバックアップしていくべきである。
 残された課題として@代用監獄の廃止、A拘禁制度の改革への取り組み、がある。
 @代用監獄は、今回の法改正では存続を前提とされたが、衆参の付帯決議で、そのあり方も検討することとされた。逮捕後速やかに捜査と分離された専用の拘置施設に移されるのが国際常識である。大型・独立留置場が、全国に広く設置されつつあるが、これらは法務省に所管替えすべきである。とりあえず、否認事件や重罪事件だけでも拘置所に収容するというプロセスを経れば、代監制度の漸減は決して不可能ではない。
 A拘禁制度改革のうち、未決に関しては、勾留と保釈要件の見直し、在宅勾留など未決拘禁の代替措置があげられる。人質司法の抜本改革である。既決に関しては、社会奉仕命令、仮釈放制度の抜本改革、釈放後のケアがある。法制審議会においてこれらの検討が開始されているが、日弁連委員を通じ、あるいは弁護士会として、早期に改革提案を提示していかなければならない。

司法改革の前進を目指して

裁判制度
裁判員制度への取り組みの強化を
 2年余りで裁判員制度が始まる。
 制度それ自体は、法曹三者やマスコミの努力により国民の間に広く知られるようになった。今後の広報活動には、国民の参加意欲を掻き立てるような工夫が必要である。裁判員の活躍如何によっては、裁判官たちに厳格な証明の原則を守らせることや、捜査官に取調過程の可視化を実現させることなどが可能となる。裁判員が刑事裁判で大きな役割を果たしうることを、機会あるごとに国民に対して伝えていかなければならない。東弁は率先して、各地の自治体や学校に講師を派遣するシステムを構築すべきである。
 また、弁護士自らの弁護活動にも、大きな変容がもたらされることになる。私たち弁護士は、公判前の整理手続、短期間の公判審理、そして法廷における弁論による説得活動という新しい弁護活動に習熟しなければならない。そのための研修はすでに始められているが、今後さらに実施回数を増やし、多くの会員が参加できるようにするとともに、会員の側でも参加意識を高めなければならない。
 弁護士の意識改革が不可欠である。

弁護士任官の更なる推進を
 06年の弁護士任官者は5名であった。ほかに、弁護士会が推薦した候補者の1人が不適格とされた。この候補者に対しては、下級裁判所裁判官指名諮問委員会の地域委員会が独自に収集した資料に基づき、本人に弁明の機会を与えることなく、消極的な判断がなされたと思われる。今後は資料収集のあり方と、評価手続きのあり方につき、検討する必要がある。
 なお、非常勤裁判官から通常任官した人が初めて2名出るという成果もあった。
 他方、非常勤裁判官の推薦は順調に進み、現在全国で約120名の非常勤裁判官が執務している。弁護士会は今後も毎年全国で数十名の非常勤裁判官を輩出していかなければならず、引き続き、それに向けた取り組みが要請される。
 非常勤裁判官や、公設事務所・司法支援センターに勤務する弁護士の中に、将来弁護士任官を考えている人が多数存在するのは心強いが、当面この数年間の任官者輩出のためには、一層の工夫と努力が必要である。

裁判官の任命に主体的参加を
 最高裁に下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置され、活動を開始してから4年になろうとしている。完全なブラックボックスの中にあった指名過程に外部委員が参加し、外部情報が導入されたことによって一定の透明性が確保されたことは画期的といってよく、思想信条による差別などの危険性はほぼなくなった。
 この間、新・再任、弁護士任官とも毎年幾人かの希望者が、委員会に開示された裁判所の評価資料や任地、開業地に対応する地域委員会から寄せられた外部情報をもとに、任命不適との答申を受け指名名簿に登載されなかった。
 この制度に対しては「最高裁による再任拒否がやりやすくなった」とか「弁護士任官に厳しすぎる」などの批判的意見があることも事実である。確かに運用上、人事についての秘密保持の原則から完全な透明化が達成されたとは言えず、また、任用基準が明らかになっていないなどの問題もある。再任については、外部情報を積極的に寄せることが不可欠である。
 弁護士任官については、そのハードルの高さについての議論を深めるとともに、指名諮問委員会における面接を実現することによって、判断資料の評価、本人の弁明の機会の確保など、一層の透明性、公平性をはかる必要がある。また、指名諮問委員会発足以前からある弁護士会の推薦委員会のありようについても検討する必要がある。

裁判官の適正な人事評価の前進を
 新しい裁判官人事評価制度が04年4月に開始されてから3年が経とうとしている。この間裁判所内部では、毎年8月1日を評価基準日として、各庁で評価権者(地家裁所長、高裁長官)により裁判官との面談が行われたうえ、新様式の人事評価書が作成されている。裁判官からの開示請求も一定程度なされている模様である。これらの点からすると、この新制度は、内部的には次第に定着しつつあると評価できる。
 一方、この新制度のために弁護士から提供される外部情報については、全国的にみれば、その数に地域的な格差があり、今後これを是正していく取り組みが必要である。情報の質の面では、人事評価に効果的に反映される具体的かつ的確な情報をいかに集め、提供するかが大きな課題となっている。東弁では、裁判官選考検討委員会が、裁判官の任用(指名諮問委員会)と人事評価の両面で、裁判官アンケート、モニター制度等の諸活動を行っているが、われわれ会員も、こうした東弁の取り組みと連動しながら、日常的に、担当事件の裁判官への関心を持ち、何か気がつけばそれを的確に情報化し、提供していかなければならない。

東京地方裁判所委員会・家庭裁判所委員会の充実を
 過去の家庭裁判所委員会が機能不全であった反省を踏まえ、03年8月、司法改革の一環として新たに地裁・家裁両委員会制度が発足した。新制度の狙いは、裁判所運営に市民の声を反映させ、着実で迅速な改善・改革を試みるところにある。
 この3年半の間、両委員会とも12回の開催を数え、裁判所利用者の要望や苦情、受付や広報一般の問題、その他多岐にわたる議題を俎上にのせてきた。八王子支部の立川移転、簡裁調停部門の墨田移転、そして09年実施の裁判員裁判制度に向けた庁舎の改造・改修等、東京固有の議題も多かった。
 この間、市民委員に期待される裁判所への疑問呈示・改善の斬新な意見の発表が活発であったかとなると、疑問なしとしない。地裁委員会の市民委員の問題意識が次第に鋭くなってきたといった前進面は見られるものの、このことは弁護士委員が裁判所運営の理念と現実の隔差を、適切に提示できていたか、日頃、委員相互の信頼や司法行政改善への共感構築に努めてきたかということも関わってくる。改めて両委員会の市民委員との交流や連繋を一層強める方向で、弁護士委員や弁護士会の取り組み方を検討しなければならない。
他職経験制度の発展を
 05年4月から始まった他職経験制度(判事補と10年未満の検事が原則として2年間弁護士職務を経験する制度)は、この3月で丁度2年となり第1期の人たちが任期を終了し、判事補と検事に戻る予定である。
 この間、日弁連では、他職経験者を招いてのミニシンポジウムを開催するなどして、検証を実施してきた。それによれば、他職経験の人たちは、弁護士が依頼者との関係で苦労する姿や、接見に多大な時間と労力を割いている実情などに接し、非常に有意義だという感想を述べている。
 受入事務所も、第1期がかなり企業法務関係の事務所に偏ったのに対して、第2期では東弁と二弁の各公設事務所が加わるなど、幅が広がってきた。また、実施地域も、判事補については第1期が東京と大阪だけであったが第2期で福岡も加わり、第3期では名古屋も実施可能性のある地域として指定された。
 判事補から9人、検事から5人という規模は、最高裁・法務省ももっと拡大したいと考えているとのことであり、日弁連も、多様な受入先事務所をさらに多く確保するよう努力する必要がある。

司法アクセス
発足した日本司法支援センターの課題
 06年10月に業務を開始した法テラスは、多くの困難を克服して概ね順調にスタートした。法務省所管の独立行政法人であることを心配する向きもあるが、名実ともに官主導の組織・運営となるか、伝統的な弁護士魂が生きる業務を展開できるかは、今後の弁護士および弁護士会の対応如何にかかっている。
スタッフ養成事務所の充実
 もっとも重視すべき課題は、優秀なスタッフ弁護士の確保である。そのためには、これを養成する事務所の質と数を充実させることが必要である。就職難から多数の修習生が入所を希望すると予想できるが、これに対応する事務所が質量ともに確保されていなければ、官主導の弁護士育成になりかねないからである。
民事に関する課題
 民事に関する当面の課題は、コールセンターの円滑な運用と受け皿となる法律相談体制の充実である。東京三弁護士会の法律相談センターは法テラス東京地方事務所と同じビルに入居したので、この面では連携が図れることになったが、残念ながらそれは未だ十分ではない。コールセンターのオペレーターの誘導に問題があると言われており、熟練したオペレーターの養成が望まれる。
刑事対応の問題点
 刑事に関する課題は、引き続き十分な数の国選弁護人の確保と、きめ細かな事件配点である。法テラスが弁護活動に質的な変化を与えるとの危惧から契約を拒否する会員もおり、いまだ十分な態勢が整ったとは言い難いものの、まずは混乱なく滑り出したとみてよい。当面は、名実ともに弁護活動の独立性が維持されるよう、新しい制度の運用を見守っていく必要がある。
自主事業の展開
 法テラスの本来業務とならなかったいわゆる自主事業は、弁護士会の人権擁護活動の深化を示すものとして社会的に大きな評価を受けており、今後とも充実強化する必要がある。法務大臣が監督する法人に人権擁護活動を委ねてよいのかという反対論もあるが、これら事業の将来を展望すれば、国の責務である法律扶助の充実の観点から国費が投入されることは望ましく、そのためには日弁連が法テラスに委託して実績を積み重ね、本来業務に格上げさせることが現実的な方策である。これは決して弁護士会が先進的な人権擁護活動を放棄するものではない。

被疑者国選弁護制度の充実を
 被疑者国選弁護制度は、今回、重大事件に限定して導入された。09年には必要的弁護事件すべてに拡大されることになっている。
 この制度の導入によって、弁護士がかかわる刑事弁護事件の数は飛躍的に増加することになる。これに対応できる体制を早急に整備する必要がある。東弁刑弁委員会の推測によれば、東弁の09年度割当数は本庁で7500件、多摩支部で2000件に達し、必要な弁護士数は1050人とされている。東弁は、法テラスに必要なスタッフ弁護士の数を確保するとともに、契約弁護士数の確保も積極的に進めていかなければならない。06年12月1日現在当会の被疑者国選弁護の契約弁護士は多摩支部を含めて468名にすぎない。報酬の増額も課題である。
 また、現在被疑者国選弁護制度の対象となっていない事件については、09年までの間当番弁護士制度と法律扶助による弁護人援助制度によって対処することになるが、法律扶助協会は07年3月をもって解散する。その後は、日弁連の一括委託により法テラスが被疑者弁護人援助制度を引き継ぐことが予定されているが、制度を後退させることがないよう、利用の詳細や報酬基準などを早急に策定しなければならない。

少年当番付添人制度の定着を
 少年当番付添人制度は、04年10月から本庁で、05年4月から八王子支部で実施された。法律扶助協会の少年保護付添人扶助の実績は、03年度の401件から、04年度の451件、05年度の673件と増加しており、制度実施の効果が現れている。しかし、観護措置決定数が年間1500件程度であることを考えると、その選任率は当初目標に達していない。身体拘束を受けた少年には、弁護士付添人の援助が受けられるようにするという趣旨を実現するために、さらに家裁と協議をして告知方法を工夫してもらう必要があるほか、派遣された弁護士の受任率を高める必要がある。
 法律扶助協会が実施してきた少年保護事件付添人扶助事業は、07年3月の協会解散にともない、日弁連が実施主体となった上、法テラスに事業を委託する方向である。09年に被疑者国選弁護の対象事件が必要的弁護事件に拡大された時にも、少年被疑者の弁護人となった弁護士が家裁送致後には付添人として活動できるよう付添人扶助事業の拡充が必要であり、その財源としての当番弁護士等緊急財政基金の存続が必要である。また、新人を含む多くの弁護士が付添人活動を担えるよう、研修制度を充実させていく必要がある。
都市型公設事務所のさらなる充実を
 東弁が東京パブリック法律事務所を開設してから4年になる。その後設立された北千住、渋谷とあわせ、3つの公設事務所は、今や弁護士任官、過疎地公設派遣、新刑事訴訟による刑事事件に対応するスタッフの養成、法科大学院の支援、法テラススタッフの養成など、まさに司法制度諸改革の中枢をになっている。一般の法律事務所では担いきれない部分を担ってもらう公設事務所は、今後も需要は拡大こそすれ、縮小することはない。多摩地区にも新たな公設事務所を設置すべく、協議会を設置し検討が開始されている。一日も早い設置がのぞまれる。
 しかし、公設事務所を担うのは弁護士である。新人の採用は問題なく推移しているが、新人を育成する中堅弁護士や、所長、副所長の人選は容易ではない。会員の公平な負担との建前から、2年任期制になっている。中堅弁護士が公設事務所へ行って、また帰ってくるという流れを創り出すために、公設事務所を支える衛星事務所を多数用意することが急務である。
 こうして、安定的な人材の確保をすることによってこそ、多くの課題をこなしていけるのである。
 なお、3つの公設事務所中、東京パブリック法律事務所だけは自ら家賃負担をしており、他の公設事務所との不公平感がある。弁護士会で所有物件を取得するとか、家賃負担をするとかして、是正するのが望ましい。

行政事件訴訟法の活用と第二ステージ改正を
 司法は行政チェック機能を果たしていないといわれ続けて40年が経過し、04年6月にようやく行政事件訴訟法が改正された。改正法が施行されてから1年9カ月の間に、改正法の趣旨に沿った判決がかなり見られるようになった。最高裁判決では在外投票違憲訴訟判決(05年9月14日)、小田急高架化訴訟原告適格拡大判決(05年12月7日)、林試の森公園訴訟判決(06年9月4日)などが、下級審でも数多くの判決が出ている。最近最も注目を集めた東京地裁「日の丸・君が代」強制違憲判決(06年9月21日)も改正法が後押ししたものである。
 行政事件訴訟は、行政の誤りを正すとともに、立法・行政に適正な政策を形成させる役割を担っている。
 行政による国民の権利侵害の実効的な救済を確保するために、私たち弁護士が改正行政事件訴訟法を大いに活用して、行政訴訟に積極的に取り組んでいくことが必要である。
 今回の改正法は第一ステージの改革であり、司法による行政チェック機能の強化に向けて第一歩を踏み出したにすぎない。行政訴訟制度をめぐっては、まだ多くの課題が積み残されている。行政計画の司法審査、行政立法の司法審査、裁量に関する司法審査、団体訴訟、納税者訴訟、弁護士報酬の片面的敗訴者負担制度の導入などは、喫緊の重要課題である。弁護士・弁護士会としても、第二ステージの行政訴訟改革の実現をめざす運動を大きく展開していかなければならない。

労働審判制度の適正な運用と更なる活用に向けて
 06年4月から労働審判制がスタートした。労働審判制は、近年激増している個別的労働関係における民事紛争を対象に、職業裁判官である労働審判官1名と労使各1名の労働審判員の計3名からなる労働審判委員会が、原則3回以内の期日で調停ないし労働審判を行うものである。06年9月末までの6ヶ月間で、東京地裁では156件の申立があり、うち100件が終結し、調停成立が74件、労働審判が18件であった。
 これまでの運用状況は概ね制度設計どおりと思われるが、これが迅速かつ柔軟な、市民にとって利用しやすい労使紛争解決システムとして機能し定着していくかは、ここ数年の取組みにかかっている。弁護士会としては、@受任体制の確立のための労働事件に精通した労使代理人候補者の養成とニーズに応えうる受任システムの整備、A運用状況の情報収集・分析と、東京地裁との定期協議を通じた運用改善、B市民への広報、解決内容の情報提供、などが課題となる。東弁は、06年4月から労働法制特別委員会を設置し、労働法に関する専門弁護士養成連続講座等も実施しているが、上記諸課題について一層の取り組み強化が必要である。

充実した法教育を
 法律専門家でない人々を対象に法律、法過程、法システム及びこれらの基礎にある原理や価値に関連する知識、技能を提供する法教育は、これまで学校教育において顧みられてこなかった。しかし、国民が法の理念を理解し、主体的に行動するためには、学校教育に法教育を導入することが必要である。各所で裁判員制度導入の準備が進められるなか、裁判員の担い手を育てるためにも、いっそうその必要性が高まってきたといえよう。
 弁護士と弁護士会は、かねてから法教育の必要性を訴え、法務省や文部科学省に対し導入を働きかけるとともに、各地でさまざまな取り組みを展開してきた。現在、学校現場において、実際に法教育を取り入れた授業を試みる動きが出ているほか、文部科学省においても、学習指導要領の改訂に合わせ、法教育の導入が検討されている。
 法教育の展開には優れた教材の作成と教員養成が不可欠であるが、市民に最も身近な法律家である弁護士は、そのいずれについても重要な役割を果たすことが期待されている。東弁では、これまで法教育センター運営委員会を設置し、各地の教育委員会や学校との連携を深め、法教育導入に向けての協力関係を構築してきたところである。今後も地道な努力が求められている。

裁判官・検事の増員と司法予算の拡大を
 弁護士の大量増員が具体化しているのに、裁判官、検事の大幅増員の動きが見えない。地裁の民事事件は過去40年間に全事件で3・4倍、訴訟事件でも2・5倍に増加したが、裁判官は1・4倍にしか増えていない。
 03年7月に成立した「裁判の迅速化に関する法律」は、1審の裁判は2年以内のできるだけ短い期間に終わらせることと、これを支える裁判所の人的体制の充実を定めている。裁判の適正・迅速化のためにも、家庭裁判所を含む裁判官の大幅増員は不可欠である。東京では特に八王子支部の裁判官増員が重要である。
 また検事不足も深刻である。本来検事が行うべき事件処理の約7割は副検事が担当している。
 06年度は、予算定員で判事40人、判事補35人、検事43人を増員した。しかし、この程度では、特に地方の人員不足を解消することはできない。
 日弁連は、03年10月に、今後10年間で裁判官・検事の数を2倍にすることを求めている。家裁調査官を含む裁判所職員や保護・矯正部門を含む法務省職員の増員も急務である。
 司法の人的・物的拡充、国費による被疑者弁護や少年当番付添人制度を運営する法テラスの充実化など、市民の司法を実現するためには司法関連予算の大幅拡大が不可欠である。裁判所予算が国家予算の0・4%にすぎないという現状を改革し、すみやかに少なくとも昭和30年代の0・9%台にまで回復させなければならない。 

八王子支部の立川移転にあたっての課題
 裁判所の新庁舎
 立川に移転する地裁八王子支部の新庁舎については、PFI方式による民間業者の受注が決まった。今後は詳細設計や運用について積極的に意見を述べる必要がある。その際には利用者の利便性と、裁判員裁判の開始にともなう被告人の防御権と弁護人の十全な活動を保障する視点からのチェックを忘れてはならない。
 新弁護士会館
 裁判所等の移転に併行する新弁護士会館建築の課題について、期成会は昨年度、モノレール高松駅前の3000uの土地を取得すべしとする意見を提出した。落札できなかったものの9月26日開催の東弁臨時総会を通じて、新会館建設に向けた会内合意の形成に積極的な役割を果たした。
 私たちが考える会館の構想は、@法曹人口の大幅な増加を踏まえ、弁護士会活動の拡大を見すえた規模とすること、A多数の生活者を擁する三多摩地区の特性を考慮し、地元の自治体や団体と一緒に会館を建設する姿勢を持ち、徹底的に市民に開かれたものとすること、B多摩支部独自の活動を活性化させる長期的な展望を持つこと、そして、Cより規模の大きな会館を展望する場合には、多摩地区や東京三会のレベルではなく、法曹養成の将来を展望して日弁連主導の弁護士研修所も構想すること、である。「会館建設に夢を」を忘れてはならない。
 八王子の司法機能
 裁判所等が移転した後の八王子を中心とする司法サービスの問題については、地元自治体とも協議して司法機能の強化に向けて裁判所支部の新設運動を進めるべきである。東弁としても、現在の多摩支部会館のより積極的な活用を検討する必要がある。

法曹養成
法曹養成のための地道な努力を
 06年3月に法科大学院生の1期生が卒業し、同年5月短答式及び論文式の新司法試験が4日間にわたり実施された。短答式試験は、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法を対象に、合計5時間30分をかけて実施され、それに続けて、論文式試験が、選択科目3時間、公法系科目4時間、民事系科目6時間、刑事系科目4時間という時間で実施された。いずれの科目も資料を読み込まないと解答できないものとなっており、非常にハードな試験となった。
 法科大学院の学生は、2ないし3年間厳しい授業を経てこの試験を受けている。弁護士会は、新司法試験の負担が重くなりすぎて法科大学院が予備校化することのないよう、プロセスとしての法曹養成に重点を置いて支援していくべきである。実務家教員の派遣はもちろん、リーガルクリニックやエクスターンシップの臨床法学教育にも積極的に参加し、理論面及び実務面に加え倫理面についても教育すべきである。また、東弁は認証評価機関による法科大学院に対する厳格な審査及び適切なアドバイスを行うための現地調査委員確保にも積極的に協力すべきである。

大幅増員に対応した司法修習の充実を
 現行修習と新修習の併存による修習事務所不足は深刻である。06年7月からは、07年秋修了予定の現行60期約1500人が実務修習を行っており、東弁には約124人が配属されている。さらに06年12月からは07年秋修了予定の新60期約1000人が実務修習を開始し、東弁には約137人が配属されている。
 これに対して、06年11月現在、新修習および現行修習の修習生受け入れ事務所として、東弁修習委員会に登録され、修習生を受け入れている事務所は約130しか存在しない。単純計算しても、各指導担当弁護士が年2回修習を担当しなければ実務修習が機能しない状態になっている。しかも、新修習では、選択型修習として、修習期間の最後2ヶ月、修習生が弁護実務修習事務所に戻ってくる制度が存在しており、事実上、年2回の受け入れをするのと同じ結果となっている。受け入れ事務所の全体数を大幅に増やす必要がある。
 後進育成には弁護士会全体で取り組むべきである。
 3000人時代は数年後の話ではなく、すぐそこにある。就職受け入れ事務所不足もすぐに深刻化するものと思われる。これを座視し、放置することは許されない。早急に対策をたてる必要がある。

会員のための弁護士会

弁護士業務
大増員時代へ向けて積極的な業務対策を
 弁護士大増員時代の業務対策のため、日弁連に弁護士業務総合推進センターが設置されている。同センターでは、弁護士就職問題、地方活性化、弁護士情報提供制度・弁護士紹介制度、研修、法的ニーズ・法曹人口調査検討、立法、人権と企業の社会的責任、内部統制システム、国選弁護報酬、地方自治体関与業務推進、任期付公務員・企業内弁護士派遣推進、中小企業関連業務推進などのプロジェクトチームが活動している。
 諸課題の中でも、新人弁護士の就職問題や弁護士業務のあり方については、早急な対策が必要である。
 新人弁護士の就職問題に関しては、各弁護士会内に就職を援助する部署を新設するなどして、地方都市・公務員・企業への就職あっ旋や、就職後のミスマッチ解消のための法律事務所間の流動性を高める方策などに取り組むべきである。
 弁護士業務のあり方に関しては、新人を含めて専門性を高めるための研修の充実、弁護士の業務自体を拡大するための立法も視野に入れた制度の検討、自治体や中小企業などへの弁護士の関与業務のさらなる拡大、等について検討する必要がある。

研修の充実を
 東弁の研修制度は、多様なプログラムが組まれており、参加者も大幅に増えている。充実ぶりには目を見張るものがある。今後の課題は、継続的な研修制度の確立と研修の義務化であろう。東弁では00年度に、事務局長1名、事務局次長2名および嘱託弁護士からなる弁護士研修センターの設置を決めているが、実行されないまま現在に至っている。センターを設置し、これを弁護士業務に必要な情報は、いつでも、どこでも、すぐに得られるという業務支援システムへと展望すべきである。そのためには大胆な民間のノウハウの取り込みや共同化も必要であろう。
 当面の課題としては、他会や法務研究財団はもとより民間との協力や連携による、より充実した研修体制の構築がある。そのためには恒常的な施設・設備が必要である。法曹人口も増大するので、弁護士研修所の建設など思い切った施策を実行すべきである。法律扶助協会が移転した後の霞ヶ関の会館の利用、あるいは立川に設置予定の新会館にこのような施設を造ることも検討に値する。

会員サービスの充実を
 会員サービスは、従来後回しにされてきたきらいがあるが、今後会員が急増する中で、極めて重要な問題である。これまで通りの弁護士会費の負担を求めつつ、現状程度の会員サービスが提供されるにとどまる場合、負担に見合うサービスを会から得られていないと考える多くの会員が現れる可能性がある。かかる事態は、会への強制加入を前提とする弁護士自治を内部から脅かす脅威となりかねない。昨年、私たちは、大型シュレッダーの有償貸与という一見些末なサービスを提案したが、細やかに会員のニーズを拾い上げることの重要性が認識されるべきである。
 現在東弁で進められているOAシステム刷新も、会員がウェブ上で手続を行ったり、自己のデータを参照したりすることを可能にするなど、十分に会員サービスに資するものでなければならない。そして、研修その他情報提供の面でも、会員にとって便利かつ有益なシステムを構築すべきである。
 また会員サポート窓口は、多くの会員の悩みの受け皿となっている。この窓口を今まで以上に充実させるとともに、その活動の成果を会員へ還元することも検討すべきである。
不祥事防止の取り組みを
 私たちの弁護士業務は、市民の弁護士に対する信頼があって初めて遂行できるのであり、その信頼を揺るがすような芽は、早期に摘み取らなければならない。
 当会の市民窓口に対しては06年1月から12月まで、1550件の苦情が寄せられた。
 その中には、顧客からの預かり金の不正処理の疑いのあるケース、事務員の非弁活動が窺われるケース、業務停止中に弁護士活動を行っているケース等、懲戒事由の存在が疑われる場合もあるが、それ以外にも、会員と連絡がとれない、会員の行方が分からない、あるいは、市民からの苦情が多い、というように懲戒事由の存在までは疑われなくても、将来不祥事へ繋がる恐れのある場合も増大している。
 懲戒事由の存在が疑われるケースに対しては、会立件で綱紀委員会に調査命令を出すことが行われているが、これから会員数の大幅増大が予想される現在、それを理事者任せにしていては、対応しきれなくなるのは目に見えている。
 他方それ以外のケースに対しても、必ずしも適切な対応が出来ているわけではない。
 放置すると将来不祥事に繋がると思料されるケースについて、会として適切な対応が出来るような体制作りが必要である。

選挙の運用改善を
 東弁の選挙運動に対する規制は、その会規等が厳しい内容となっているだけでなく,その運用に当たっても厳格解釈の傾向が見受けられる。しかし,現行の東弁選挙会規等はIT技術の進展など時代の変化に合わない面もある。現行の立候補手続きは煩雑であり,納付金の負担もある。そこで選挙制度をより合理化し,立候補者の負担を軽減するための改革を実現する必要がある。
 すでに,東弁内会派でのその構成員に対する通知文書に対する規制の解除については会派間でも概ね合意が見られているが,@納付金制度を供託金制度に改める、A立候補手続の簡略化を図る、B選挙運動へのホームページの活用、C候補者選考の準備行為時期を8月まで早める、D公聴会等の見直し、E多摩支部会館内での投票、F不在者投票の期間の延長、G高齢者,病気中の会員のための郵便等による投票の導入、H選挙違反に対する制裁規定の整備、などの会規等改正を検討する必要がある。

会務と財政

会務活動への積極的な参加を
 会務活動等の義務化は、他会の同調を得ながら順調に運用されている。委員会等への参加が増えていることは歓迎すべきである。
 会務を平等に負担することを目的としたこの制度は、弁護士会への帰属意識を高め自治を強化するものであり、その意義は明確である。しかし無理解な会員や事情により参加できない会員も一定数いるので、制度趣旨をいっそう徹底するとともに、会員一人ひとりに対する細やかな対応が必要である。拡大する活動領域に対応した会規の見直しも不断に求められている。
 また、制度の円滑な運営のためには会員の活動データの正確性の確保がなによりも重要であり、そのためにはコンピューターの活用をより積極的に図るべきである。

若手会員に日弁連会費の減免を
 特別会費の延長と会費の減免規定の整備
 法テラスが開業し、被疑者国選弁護制度が導入された。少年付添人事件の国選化、司法過疎対策の拡充など残された課題は多く、当番弁護等緊急財政基金のための特別会費と弁護士過疎偏在対策のための特別会費の延長はやむを得ない。
 しかしながら、昨今の弁護士収入の全般的な減少傾向に加え、若手会員の給与水準の引き下げ、司法修習生の就職難などを考えると、経済的に苦しい会員も増大していると思われる。これら会員の会費の負担能力は限界にあるから、思い切った減免規定を早急に整備すべきである。
 減免による会費収入減は、日弁連の収入全体に占める割合としては僅かに過ぎず、会員数の飛躍的な増加が見込まれることから財政に影響を与えることは少ないものと考える。
 総合的な財政政策
 司法改革に伴い多様な政策が実行されたことや、新制度が発足したことによる旺盛な資金需要に対し、その都度、特別会計の創設や資金の流用など、いわば場当たり的な財政手当が行われてきた面は否定できない。このような財政のあり方は、透明性に逆行することはもとより財政民主主義に反する。司法改革が一段落した現時点において、早急に総合的財政政策を策定する必要がある。

東弁財政の改革を
 会員数が増加し、活動範囲が多様に拡大した東弁の活動を支えるためには、会財政のあり方を不断に見直すことが求められる。05年度の会計規則改正により、職員退職金積立特別会計を廃止したほか、一般会計における繰越剰余金を次年度の収入として使えるようにしたことによって会財政の弾力的な運営が可能となった点は評価できる。しかしながら、多数の特別会計の存在が会財政を分かり難くしている問題は解消されていない。
 当面する財政の課題は、次のようなものである。
@特別会計の整理統合など抜本的見直し、とりわけ会館特別会計と目的が重複する基本財産特別会計の統廃合
A多額の蓄積を有する会館特別会計のあり方の検討
B資金の効率的な運用
C弁護士収入の全般的な減少をふまえた、経済的に厳しい高齢・若手、病気等の会員に対する会費の減免制度の拡張
D新公益法人会計基準の導入と、分かりやすい会計の実現
 いずれも2ないし3年内の対応が求められている。そのためには理事者の強力なリーダーシップと、財務を担当した元副会長などからなる特別チームの編成が必要である。

日弁連の課題
 日弁連の喫緊の課題は、弁護士激増と法テラスへの対応である。すでに07年度において相当数の新人弁護士が就職できない事態が想定されているが、08年度以降はこの事態が一層きびしくなると思われる。現在弁護士業務総合推進センターを発足させ、この問題に取り組んでいるが、就職説明会の開催や求人情報のホームページへの掲載などの対策だけで問題が解決できるとはとうてい思えず、10年先を見すえた対応策の策定が喫緊の課題である。また、法テラスに対し、弁護士数の少ない単位会が十分に対応できるのか不安があり、従前以上の数の国選、法律扶助、法律相談等が来た場合は対応できないという単位会も少なからず存在する。司法書士会が法テラスを職域拡大のチャンスととらえている現状を考えると、弁護士が対応できない部分は司法書士の職務権限を広げて市民のニーズにこたえろとの世論が起こる可能性がある。日弁連はこのような事態に立ち至らないように機敏に対応する必要がある。中長期的な課題としては、会員の激増にともない、会員の意見の集約をどのようにするか、また会員の信頼を得るためには、会の意思決定をどのようにすることがもっともふさわしいかも検討する必要がある。

関弁連の課題
 関東弁護士会連合会をはじめとした「弁連」は、弁護士法上は「設けることができる」と規定されているのみで、必須の機関ではない。任意団体に過ぎないのである。
 しかし「弁連」の存在は当然の前提とされ、最高裁判所裁判官推薦諮問委員会等の委員会には「弁連」から委員を選出することとされる等、今や「弁連」は日弁連や各単位会の運営上必須の機関として組み込まれている。加えて、近時は「弁連」が主体的に事業を行うことが増加している。関弁連でみても、管内における7つの公設事務所の設置・運営、法テラスの業務開始前における実務担当者交流会の開催、弁護士偏在や小規模支部問題への取組等、「弁連」の事業は多種多様の分野において飛躍的に拡大している。
 さらには、今後の弁護士数の増大にともない日弁連における処理が困難な業務(例えば新規登録弁護士研修)の移管、小単位会の任務過多の軽減等の観点からも、日弁連、「弁連」、単位会の位置づけ役割分担の再構築が求められる。現に日弁連は昨年この問題に関するワーキンググループを立ち上げた。
 日弁連会則を改正する等して「弁連」の役割・機能・組織等についての明確な規定を設け、その基盤整備を行うべきである。



2007年1月20日

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