東京地方裁判所八王子支部の移転問題に関する意見書


2003年9月8日

東京弁護士会

会長 田中 敏夫 殿

東京弁護士会期成会

代表幹事 鈴木堯博


東京地方裁判所八王子支部の移転問題に関して、下記のとおり意見を申し述べます。

【意見の趣旨】

1.        東京地方裁判所八王子支部の移転問題に関して、東京三弁護士会の意見を取りまとめるために、「東京三会・東京地裁八王子支部移転問題協議会」(仮称)を設置されたい。

2.        東京三会と裁判所との間で、東京地方裁判所八王子支部の移転問題に関して、情報交換と協議をするための協議機関を設置するように、裁判所に要請していただきたい。

 

【意見の理由】

1.去る7月15日の東弁臨時総会の席上、会長から、東京地裁八王子支部が立川に移転する方向で検討されているとの情報が伝えられました。

東京地裁八王子支部は、民事事件の第一審としての新受件数が、全国の地裁本庁と比較しても広島地裁についで第8位(支部の新受件数が司法統計年報に公表されていた最後の1998年のデータによる。)に相当しています。

この支部の移転問題は、多摩地域における司法サービス提供の強化をはじめとして、地域司法計画のあり方に重大な影響を与えるものです。それとともに、東京三弁護士会多摩支部のあり方にも直接の影響をもちます。地裁八王子支部のすぐ近くに位置している多摩弁護士会館について、地裁支部とともに移転すべきかどうかという問題も検討しなければなりません。

私たちは、この八王子支部移転問題を契機として、都下における司法サービスのあり方を再検討すべきであると考えます。また、より一層地域の実情に応じた司法サービスが提供できるようにするために、東京地裁八王子支部の本庁化を求める運動を起こすことについても大いに検討する必要があります。

しかし、これらの問題の検討に当たっては、東京三会が足並みを揃えなければなりません。東京三会の協調と結束がなければ、裁判所への働きかけや自治体との交渉もできず、問題が一向に進展しないことになります。

そこで、八王子支部移転問題に関して、東京三弁護士会の意見を取りまとめるために、「東京三会・東京地裁八王子支部移転問題協議会」(仮称)を設置されるようにご検討願います。

2.東京地方裁判所八王子支部の移転問題に関する裁判所からの情報は不十分で、具体的なものではありません。このまま放置すると、弁護士会や自治体、市民の意見が反映されないまま、裁判所サイドの立場で移転の具体的計画が固まってしまうことが危惧されます。裁判所が密行性を持って移転計画を進めそうになった事例としては、1998年における東京地裁民事執行部の目黒区移転問題がありました。その時のことを教訓としつつ、裁判所庁舎移転問題については、市民にとって利用しやすい裁判所という視点を重視した移転計画の検討がなされるように、裁判所に要請する必要があります。

そこで、東京三会で早急に意思統一を図ったうえで、東京三会と裁判所との間で、八王子支部移転問題に関する情報交換と協議をするための協議機関を設置するように、裁判所に働きかけることが必要だと考えます。

以上